神秘的…。ブラックホールに星が引き裂かれる連続画像が世界初公開!

space 2018/06/16

Point
・衝突する銀河の中心で「潮汐破壊現象」の赤外線放射の爆発を観測
・継続的な観測で、ブラックホールから放出されるジェットが形成され発展する様子がわかる
・さらに多くの潮汐破壊現象が赤外線や電波の観測により見つかる可能性

ブラックホールによって星が引き裂かれても、「すべての物質が忘却の彼方へと吸い込まれてサヨウナラ」というわけではありません。物質の内約1割は、ほぼ光速で宇宙空間を突き進む、細く絞られ磁化したプラズマの流れである「宇宙ジェット」として放出されます。これは宇宙でも最大級の高エネルギー現象ですが、この度初めて、そのジェットが形成してから広がるまでの連続画像が“Science”誌で公開されました。

この現象が起こったのは、1億5千万光年離れたARP299と呼ばれる銀河同士の衝突の内部。太陽の2倍の質量を持つ恒星が、太陽の2千万倍の質量のブラックホールに近づきすぎたために起こったのです。

こうなった哀れな星に、もう生き残るすべはありません。ブラックホールの強烈な重力によってズタズタに引き裂かれてしまいます。潮汐破壊現象(tidal disruption event)と呼ばれるこの現象は、検出されることはほとんど無く、今回のように形成から発展までの様子が観測されたのは初めて。

A dust-enshrouded tidal disruption event with a resolved radio jet in a galaxy merger
http://science.sciencemag.org/content/early/2018/06/13/science.aao4669

多くのブラックホールは休眠状態にありますが、一度何らかの物質が重力圏に入ってくると壮観なイベントが始まります。星は引き裂かれ、ブラックホールの赤道付近に降着円盤を形成。これらの物質は最終的にはブラックホールに落ちてしまいますが、強い重力と摩擦力による熱で明るく輝きます。しかし、すべての物質が事象の地平線の内側に落ち込むわけではありません。いくらかは、ブラックホールの磁場線を介して軸へと流れ込み、放射と粒子が光速近くまで加速されて放出される宇宙ジェットとなるのです。

Credit: Sophia NASA,STScl / 天文学者はArp299銀河の中心で一際輝くジェットに気付いた

この特異な現象の観測はArp299-B AT1と呼ばれ、2005年頃に開始されたものです。1月30日にカナリア諸島のウィリアム・ハーシェル望遠鏡が、Arp299銀河の中心からの赤外線放射の爆発をとらえました。

そして7月17日には全米科学財団の超超基線アレイが電波放射を補足。しかし、可視光やX線での観測ではとらえることができませんでした。恐らく、Apr299が厚い塵に覆われて可視光が遮られていたためです。しかし天体は赤外線や電波を強く放射し続けていたため、研究者たちは赤外光と電波での観測を続行しました。そして今回ようやく、その放射が一方向に高速で動いている姿を観測できたのです。それはちょうど相対論的ジェットとして予測されたものの様でした。

仮説ではもっと多くの潮汐破壊現象が観測されてもおかしくありません。おそらく多くの超巨大ブラックホールが、今回のArp299のように塵に覆われていて可視光では観測できていない可能性があります。研究者たちは赤外線や電波の放射を伴う潮汐破壊現象を探すことで、この現象をさらに発見することが可能であると考えています。

 

星を食べ過ぎたブラックホールは一体どうなるのか?宇宙で最も凶暴なイベント“TDE”

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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