火星でも呼吸できるかも?海の細菌、宇宙環境でも光合成できることがわかる

space 2018/06/19

Point
・シアノバクテリアで行われる新しい光合成が発見された
・新しい光合成は近赤外線を用い、日陰などの光が少ない場所でも働く
・火星など、宇宙環境での酸素供給システムとしての応用が期待される

火星など他の惑星でも、安定して酸素供給を行える可能性が見えてきました。

Science誌に15日付で掲載された研究では、シアノバクテリアからこれまで確認されていない新しい光合成が発見され、地球上で生息困難な場所でも光合成を行える可能性があることが発表されました。

Photochemistry beyond the red limit in chlorophyll f–containing photosystems
http://science.sciencemag.org/content/360/6394/1210

シアノバクテリアはラン藻(藍藻)とも呼ばれ、海水や淡水に多く生息していますが、砂漠も含めた陸上で増殖するものや、動物や植物と共生するものもあり、非常に広い分布範囲を持っています。よく水槽のガラスや水草に発生しているので、水生生物を飼育している人には馴染みがあるものでしょう。

一般的な光合成は、植物の細胞内にある葉緑体が、水や二酸化炭素などから太陽光を受けて酸素とエネルギーへ変換しています。光合成に用いられる葉緑体は葉緑体aと呼ばれるもので、その葉緑体aは可視光の赤い光をよく吸収します。なので、吸収される赤い光以外は光合成に役に立たないものとみなされてきました。

Credit: Dennis Nuernberg / マゼンダ色:葉緑体a,黄色:葉緑体f

今回発見された光合成は、シアノバクテリアが可視光ではない、近赤外線で光合成を行えることが発見されました。これは、通常用いられる葉緑体aではなく、葉緑体fと呼ばれるものが使われます。また、この光合成は日陰などの低光量の環境で光合成が行えます。

研究論文の共著者ジェニファー・モートン氏は、「研究で発見した葉緑体の働きは、光合成を行うための光を最小限のエネルギーで行えることを再定義しました。この光合成は、あなたの庭にある岩の日陰部分でも行われているでしょう」と述べました。

この発見により、シアノバクテリアを火星に送ることで安定した酸素供給システムを構築することができるかもしれません。なぜなら、シアノバクテリアは砂漠や南極大陸、国際宇宙ステーションの表面でも生息し、非常に強い生命力を持っているためです。

研究チームのエルマー・クラウズ氏は、「地球外で光合成を行うというとまるでSF映画のようですが、実際に宇宙機関や企業は、すでにこの実用化に取り組んでいます」と語りました。

もし宇宙での酸素供給システムが出来れば、火星移住計画にまた一歩近づくことになるでしょう。

 

via: Fururism, Phys / translated & text by ヨッシー

 

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