200年間謎だった「変光星」の謎がついに解明される

space 2018/06/20
Credit: Citizen Sky web site / 円盤をもつ伴星が主星を覆い隠す「食」の様子
Point
・変光星ぎょしゃ座イプシロン星は27年という長い周期と変光が2年間も続くことが謎とされてきた
・この変光星はF系超巨星と伴星の巨大なディスクによって引き起こされる
・GAIAによる観測でこの星までの距離がわかり、主星と伴星の正確な質量が分かる

時間とともに明るさが変化する不思議な星、変光星。その周期は長いもので約332日で、短いと2,3日のものもあります。

その中に、およそ200年の間天文学者たちを悩ませてきた変光星がありました。冬の明るい星、ぎょしゃ座イプシロン星です。これは共通した重心の周りを回る2つの星が、互いの光を覆って隠し合う食変光星ですが、なんと27年という非常に長い周期をもち、その変光は2年間も続くのです。

しかしガイア宇宙望遠鏡による正確な距離の測定によって、この変光に関わっている2つの星の質量が判明。何十年ごとに地上から見える「食」が、星間の物質の交換によっておこっていることがわかったのです。

MESA models of the evolutionary state of the interacting binary epsilon Aurigae
https://academic.oup.com/mnras/article-abstract/476/4/5026/4931777?redirectedFrom=fulltext

27年ごとに、ぎょしゃ座イプシロン星では2年間に渡って恒星が隠される「食」現象が起こります。減光に半年、0.8等級相当暗くなった時期が1年続き、複光に半年掛かります。この仕組みに、長い間天文学者は頭を悩ませていました。

当初この星は、太陽の3000倍もの直径を持つ宇宙一大きな星であるとされていました。しかし2010年から起きた食の観測によって、この食がF系超巨星の前を横切る怪物級のディスクによっておこっており、またディスクの中心には暗い伴星があることがわかりました。

とはいえ、これらの星の実際の大きさは、その正確な距離がわからないと確定できません。超巨星は太陽の100倍までの質量を持つ可能性があるのです。

明るいF型の主星とちりの円盤を持つ伴星のイプシロン星のイメージ

2013年、欧州宇宙機関は天の川銀河の星々の正確な3次元マップを作る計画で、ガイア宇宙望遠鏡を打ち上げました。2018年の4月に2番めのデータ群が利用可能となり、その中にぎょしゃ座イプシロン星が含まれていました。この新たなデータによって、この変光星系が1600光年の距離にあることが判明。以前の推定では6400光年だったので、実際はずっと近かったことになります。

2010年のニューメキシコにあるアパッチポイント天文台のARCES装置による観測では、デンバー大学の天文学者ロバート・ステンセル氏と大学院生ジャスタス・ギブソン氏は、ディスクに物質の流れを確認しており、2つの星で質量の受け渡しが未だ続いていることを明らかにしています。

彼らのシミュレーションによると、伴星のもともとの質量は太陽の10倍で、現在の主星は太陽の5倍です。この連星は互いを100日周期で回っています。通常、質量の重い星のほうが、軽いパートナーの星よりも速く進化します。しかし、ぎょしゃ座イプシロン星のようなアルゴル型変光星においては、物質をパートナーから奪うことで、質量の軽い星のほうが速く進化します。

Credit: Citizen Sky web site / 円盤モデルに基づく連星系の様子

おそらく、この過程が伴星にもおこっていたのではないかと、ステンセル氏は言います。2千万年に以上にわたって、重たい方の星が物質を放出し、終着点はその伴星だったのです。大きかった星が縮むほど、伴星は大きく成長します。今では、かつて大きかった方の星は、太陽の2.2倍の冷えたF系の星となり、伴星は5.9倍のディスクに囲まれたB系矮星となりました。いずれは、これらの星は衝突し、重力波を放出するのではと考えられています。

 

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via:Space.com/ translated & text by SENPAI

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