金星にあらわれる謎の「大気の膨らみ」、原因が判明

space 2018/06/23

Point
・「あかつき」によって金星の大気に巨大な弓状の構造が存在することがわかる
・その原因が、直下の山が生み出し上層大気に伝播した大気重力波であることをシミュレーションで確認
・この大気重力波が惑星の回転にも影響を及ぼすことを発見

金星の大気で観測された謎の振動性の膨らみについて、新たなことがわかりました。18日に“Nature Geoscience”で発表された研究によると、この惑星の巨大な山脈が、巨大な大気重力波の原因となっているようです。

Atmospheric mountain wave generation on Venus and its influence on the solid planet’s rotation rate
https://www.nature.com/articles/s41561-018-0157-x

金星は、その類似性から地球の姉妹惑星と呼ばれることが多いです。しかし、もし姉妹だとしも、片方は正反対の性格のようです。というのも、金星の環境は、地球のような岩石惑星から想像されるものとはかなり異なっているからです。

その違いの一つが、10,000kmの幅がある巨大な弓なり構造で、金星の大気上層にあらわれては消えるという、摩訶不思議なもの。この構造は、2015年日本の金星探査機「あかつき」によって最初に発見されました。

金星は多くの独特な特徴を持っています。自転の方向が天王星以外の他の惑星とは異なり、公転と逆行しています。また自転スピードが遅いのも特徴で、1周するのに地球時間で243日掛かります。これは、公転周期である225日よりも遅く、金星の一年は金星の一日よりも短いのです。

しかし、金星の大気は自転速度よりも60倍速く回転しており、4日で1回転します。この猛烈な動きの結果、時速400kmの風が吹くことになります。この現象はスーパーローテーションと呼ばれていて、天文学者が観測した巨大な膨らみのような、4日間とどまった重力波の存在を阻害してもおかしくありません。

金星で2番目に高い山Maat Mons

2017年の論文で最初にこの波を発見した日本の研究者たちは次のように記しています。「数日間に渡る観察の間、弓状の構造は、背景のスーパーローテーションにもかかわらず、ゆっくりと回転する山岳地帯の比較的固定された場所に留まり続けました。この弓状の構造が、山の地形によって大気の低い部分で生み出され、上方に伝播した大気重力波の結果であると私達は考えています」

カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校のトーマス・ナヴァロと共同研究者によると、その解析はまさにそのとおりだったようです。

その波が赤道近くのアフロディーテ大陸の山脈上空2500メートルに現れたことはすでに分かっていました。なので、この説明は納得しやすかったのです。

しかし、それを確認するために、ナヴァロとそのチームは金星とその大気のシミュレーションを組み立て、実行しました。シミュレーションの結果は、2015年から2017年にわたる金星での4日分に及ぶ観察とよく一致していました。

加えて、チームはこれらの波が惑星の回転に影響を及ぼすことを発見しました。大気圧に変動を起こすことで最終的には回転を遅くするのです。この効果は瞬間的で、金星での一日当たりで数分です。しかし、それによって、2012年にESAが発見した以前の金星の回転周期との6.5分の差を説明することが出来ます。

科学者たちにも、なぜ金星がゆっくり逆回転しているのかはわかりません。以前の仮説の一つは、厚い大気の摩擦が原因であるというものですが、重力波が回転に影響をもたらすとすると、単なる可能性というだけでもなさそうです。

金星について分かっていないことがまだあります。それは金星の一日の長さを正確に知ることで理解できます。

「一日の長さを正確に測定することで、大気の流れが山に及ぼす様々な衝撃を見出すことが出来ます」と研究者は記しています。

これらの仕組みを科学者たちがしっかりと把握すれば、惑星の内部を調べ、その核の性質を発見する方法がわかり、最終的には金星の奇妙なスーパーローテーションを維持しているものが何かを理解できるでしょう。

 

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via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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