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W杯「サッカーボール」の科学。大ブーイングを経て「進化」を遂げた歴史

2021.01.27 Wednesday

2018.06.21 Thursday

Credit: adidas

4年に1度のサッカーの祭典「ワールドカップ」。大会を追うごとに「ボール」が進化しているのをご存じでしたか?

ボールのデザインが少し異なるだけで、選手のパフォーマンスに大きな影響を与えるサッカーの世界。2018ロシア大会で採用された最新のボールは「Telstar(テルスター)18」。新形状の6枚パネルが、より安定的な飛行を可能にしています。

今回大会(2018)で使用されている「Telstar(テルスター)18」

1970年のメキシコ・ワールドカップ以来、ボールはテクノロジーの発達とともに進化していきます。「サッカーボール」といえば思い浮かぶ初期の「白黒ボール」には32枚のパネルが使われていました。それが熱での接合技術の発達とともに少ないパネルでより「球体」に近づけていくことが可能となったのです。

そして2010年南アフリカ大会にて、史上最も「球体」に近いボールとして、満を持して登場したのが「Jabulani(ジャブラニ)」です。パネルを縫い合わせないことによって、表面が驚くほどに滑らかになりました。

しかし喜ぶ間もなく、ジャブラニはまさかの「大不評」をくらうことになります。

2010年大会で使用された「Jabulani(ジャブラニ)」

滑らかすぎるがゆえに、一定以上のスピードで蹴ると「ビーチボール」のような不規則な変化を起こしていたのです。ゴールキーパーにしてみればたまったものではありません。「ジャブラニ」は南アフリカの公用語で「喜ばせる」といった意味として採用された名前ですが、残念ながら当の選手たちは全く喜んでいなかったわけです。

不規則な変化がよく分かるのがこの映像。日本代表、本田圭佑が得意とする「無回転フリーキック」により、ボールが大きくブレているのが分かります。逆に言えば日本代表は、この「不評ボール」の恩恵を受けたチームといえるかもしれません。

しかしこの問題は、4年後のブラジル・ワールドカップにおいて解決されます。そこで使用された「Brazuca(ブラズーカ)」は、「Jabulani(ジャブラニ)」よりも縫い目の長さが68%も長くなり、球体をあえて少し「粗く」することにより、ボールの軌道を予測しやすくしたのです。

2014年大会で使用された「Brazuca(ブラズーカ)」

2018年ロシア大会において使用されている「Telstar(テルスター)18」は、前回大会より縫い目が30%長くなっていますが、選手の「使用感」において大きな変化はないようです。しかし、その「内部」には大きな進化の足跡があります。「Telstar(テルスター)18」の中には近距離無線に対応した「ICタグ」が埋め込まれているのです。

これによりスマートフォンなどとのデータ通信が可能となっていますが、具体的にどのように使われるのかについてはまだ分かっていません。しかし、近い将来に「ボールの速度」や「カーブの角度」がわかるような機能を搭載した「ハイテク・ボール」の登場を予感させます。

Credit: Slava Keyzman on Unsplash

昔はボールに「防水機能」すらなく、雨が降れば水を吸い重くなって「別のスポーツ」になってしまうような時代もありました。それを考えれば「サッカーボール」がここ数年で著しい進化を遂げてきたことは明らかです。

これ以上あまり改善点はないようにも思えますが、ワールドカップ公式球を提供するアディダスは、これからも4年ごとに新たなボールを送り出してくるでしょう。そこには「マーケティング」といった重要な要素もあるからです。

via: npr / translated & text by なかしー

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