禁断の発見!? 観測される前の量子の状態を知る方法がみつかる

science_technology 2017/12/26
Credit: wikimedia

量子の世界は摩訶不思議です。量子は複数の相反するはずの状態を同時に持つものとして存在できます。しかし、研究者が観測によってその状態を知ろうとすると、他の状態はなかったものとして一つの状態が確定します。しかし、元々はどの状態も確率的にありうるものとして考えられるのです。……といった、ふだんの感覚では理解できない量子力学の世界ですが、もし観測前の状態を知ることができたら、量子の世界の理解は大いに進むでしょう。そのようなブレイクスルーを引き起こす可能性のある発見が発表されました。

Evaluation of counterfactuality in counterfactual communication protocols - PHYSICAL REVIEW A
https://journals.aps.org/pra/abstract/10.1103/PhysRevA.96.062316

量子論の根底にある原理の一つは、量子は波と粒子の両方の性質を持って存在できるというものです。しかし、観測されるまでは、そのどちらかの状態で存在してるわけではありません。このことが、観測されていない対象量子を見分けたり追跡することを不可能にしているのです。

しかし最近この問題に取組んだ物理学者が、観測されていない量子の追跡が不可能ではないことを証明してしまったのです。ケンブリッジ大学博士課程の学生で、この研究の筆頭著者でもあるデビッド・アルビドション・シュクールさんは、「波動関数」で知られる物理の前提に興味を持つようになりました。「それは、多くの情報を含んでいるようにみえるのに、量子の実体を表すというよりも、ただの数学的な道具として使われてきました」と彼は話しています。

「そこで私たちは、量子の秘匿された動きを追跡する方法を生み出すことに挑戦したんです」

科学誌Physical Review Aで発表されたこの新しい研究によると、対象そのものを観測する代わりに、量子がその環境と影響し合うやり方を調べることで、未観測の量子を追跡可能だというのです。

粒子が動く時、粒子はその環境に「タグ」をつけます。環境との相互作用である各「タグ」は、粒子内に情報を符号化します。そこで、アルビドション・シュクールさんたちは、直接の観測なしに、「タグ付け」をマップする方法を開発しました。それから、これらの「タグ」をたどることで、実験の終わりに粒子が観測された時、粒子から情報を解読することが出来ることを発見しました。

これにより、科学者は量子の動きを辿ることができるようになり、また多くの洞察が得られるのです。

禁じられた領域 。テレパシーは可能なのか

この未観測の量子を追跡する新たな方法によって、量子力学の分野での古くからの予測を調べることができるようになります。

その中には、粒子は2つの場所に同時に存在できるという概念も含まれます。それは、テレパシーのようなもの、つまり、2人の人物の間で、粒子の移動なしに情報を伝達できるというものを示唆しています。この研究は、物理的に不可能と思われていたことが実際は可能であるということを証明しました。さらに、研究者がテレパシーの実在可能性について実証できる可能性もあるのです。

しかし、おそらくもっと重要な事は、この実験が物理学者の粒子と波動の二重性に対する理解を広げることです。

波動関数はかつて、量子実験の結果を予測するためだけの抽象的な計算用の道具と考えられてきました。しかし、この研究の研究者たちは、各「タグ付け」された量子に符号化された情報が、直接、波動関数と関係していることを発見しました。

「私たちの結果は、波動関数が粒子の実際の状態と密接に関係しているとこを示唆しています。なので、私たちは量子力学の 『禁じられた領域』に踏み込むことができるようになりました。誰にも観測されていない時の、量子の通り道を特定することができるのです」

この研究は量子の動きや振る舞いや粒子と波動の二重性を理解する絶え間ない努力の助けになるでしょう。

量子力学の根本的な「真実」を多くの新しい情報で研究することができるかもしれません。また、多くのわくわくする新しい発見への道が開かれたのかもしれないのです。

 

via: sciencealert / transelated & text by nazology staff

 

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