なぜスウェーデンでマイクロチップを体内に埋め込むのが流行っているのか?

technology 2018/06/28
Credit: EPA/Bjorn Larsson Rosvall

体内にマイクロチップを埋め込んで生活を送る―。これはSFではなく、現実世界で行われています。スウェーデンではすでに3000人ほどの人々が体内マイクロチップのある生活を送っており、日本でも関暁夫氏やオカルト系YouTuberなど何人かが入れ始めているようです。

それでは、マイクロチップを埋め込むとどのようなメリットがあるのでしょうか。マイクロチップはクレジットカードや鍵、交通ICのような役目を果たし、カードや現金を持ち忘れる心配がなくなります。また盗難や紛失の心配もなく、手荷物が増えることもありません。中には「手ごと切り取って盗まれるのでは」という恐ろしい予想をする方もいますが、今の所その可能性は極めて少ないでしょう。

しかし、どんなにメリットがあったとしても、体内に異物を埋め込むというのは中々に抵抗があります。では、なぜスウェーデンは体内マイクロチップ文化の先駆けとなることができたのでしょうか。その理由は、スウェーデン特有のバイオハッキング文化にありました。

近年、生物医学的な実験を行うアマチュア生物学者の「バイオハッカー」と呼ばれる人たちが増えています。彼らは、コンピュータハッカーのように、生き物や自分の体を使ってハッキングします。これをバイオハッキングと呼び、中には、バイオハッキングで自らのDNAを編集しようとする人もいます。

そのバイオハッキングにも、2つの大きなグループが存在します。「ウェットウェアー・ハッカーズ(wetware hackers)」と「トランスヒューマニスト」です。

ウェットウェアー・ハッカーズは、家庭用の実験器具などで生活に関連することをバイオハックで安価に解決しようとする人々のことを指し、トランスヒューマニストは、新しい科学技術を用いて人間の身体と認知能力を進化させ、ときには自らの体を実験体にし、人間そのものの機能を改善させようというという考えをもった人々です。

このバイオハッキング文化は、地域によって特色が異なるそうです。例えば、北アメリカではヘルスケアのためのバイオハッキングに注目が集まっています。一方ヨーロッパの場合は、発展途上国における人々の支援や、芸術的なバイオプロジェクトを目的としているようです。

しかし、ヨーロッパの中でもスウェーデンには特有の文化があります。スウェーデンのバイオハッカーの間で広まっているのが、もう一つのグループ、トランスヒューマニストの思想なのです。

このトランスヒューマニストたちが、NFCチップと呼ばれる近距離で無線通信を行えるマイクロチップを親指と中指の間の皮膚に埋め込んでいます。

Credit: EPA/Bjorn Larsson Rosvall

では、なぜスウェーデンではマイクロチップを体内に埋め込む人がたくさんいるのでしょうか?その理由は、スウェーデン人がデジタルに強い信頼を抱いており、個人情報をシェアするのに抵抗がないためだといわれています。

スウェーデン政府は科学技術の発展に力を入れており、スマホ決済等のデジタルインフラやサービスが普及しています。世界的に見てもスウェーデンの発展は目覚ましいもので、デジタル製品や輸出は世界でもトップクラスです。また、最近の調査ではスウェーデン人の8割が自動化に対して肯定的であるといった発表まであります。

また、スウェーデン人は世界トランスヒューマニスト財団Humanity+を1998年に共同設立しています。その設立に多くのスウェーデン人が影響を受け、人体を機械で強化・向上させる流れが生まれました。そういった経緯が、スウェーデン人の体内マイクロチップの普及に一役買っていると考えられています。

 

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via: QZ / translated & text by ヨッシー

 

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