土星の衛星エンケラドスで初めて「複雑な有機分子」が見つかる! 生命発見への鍵

space 2018/06/29
Credit: NASA / JPL-Caltech
Point
・エンケラドスの表面を覆う氷の割れ目から吹き出した海水の中に、分子量200以上の複雑な有機物が見つかる
・エンケラドスの海底には熱水噴出孔があることが示唆されており、地球外生命体の存在が期待される

土星の衛星であるエンケラドス。噴出する海水の水柱(プルーム)から、生命の存在に最も重要な材料である「炭素」を豊富に含む、大型の有機分子が見つかりました。この発見が意味するのは、地下海水面の上部に有機物が豊富な薄膜が存在することです。薄膜は地球上の海面で見られる有機化合物に富んだマイクロフィルムに非常に似通っています。

Macromolecular organic compounds from the depths of Enceladus
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0246-4

そして期待通り、エンケラドスの氷の殻の深い底の暖かな熱水噴出孔の周りに、単純な海洋生物が住み着いているかもしれないという仮説を、この発見は支持しています。以前も、この小さな衛星には分子量50以下で炭素を少しだけ含む、小さな有機分子は検出されていました。

Credit: Photo credit: NASA’s Marshall Space Flight Center on Visualhunt.com / CC BY-NC

「エンケラドスにはまたもや驚かされました」と語るのは、サウスウェスト・リサーチ・インスティチュートの地質科学者で惑星科学者でもあるクリストファー・グレイン氏です。「我々が発見したのは、分子量200以上の有機分子です。これらはメタンの10倍以上の重さがあります。噴出した海水に複雑な有機分子が含まれていたことで、生命の存在に必要なすべての基本条件を同時に満たす星として、地球以外で我々が知る中で唯一の衛星になりました」

「太陽から遠く離れた凍った衛星の地下の海底」と聞くと、生命を探すのに適した場所に思えないかもしれません。しかし、エンケラドスの海底には熱水噴出孔がある可能性が、吹き上げられた海水から水素分子が見つかったことから示されています。地球上でも、光が届かず光合成もできない海底にも熱水噴出孔があります。そしてそこには、光合成ではなく高温と硫化水素などの化学物質を利用した、化学合成をする細菌を中心とした生物圏があるのです。

これらの分子は、すでにその役目を終えた探査機カッシーニが、活動を終える前に回収した水柱のサンプルで検出されています。そして搭載された宇宙塵分析器と、イオン・中立質量分析装置で水柱のサンプルを分析したものです。

エンケラドスでの地球外生命の発見のためには、さらなる探査が望まれますが、いまのところ新たな探査機は開発すら進んでいません。とはいえ、地球の熱水噴出孔の生命圏での研究が進むことで、宇宙生物学の発展も見込めます。興味の尽きないエンケラドスですが、生命が発見されるまではまだ少し時間がかかりそうです。

 

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via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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