多くの人は会話相手を不快にさせていないかという不安から相手の好意を過小評価してしまう
多くの人は会話相手を不快にさせていないかという不安から相手の好意を過小評価してしまう / Credit:canva
psychology

出会って5カ月間は打ち解け難い?相手の好意を過小評価してしまう「好意ギャップ」

2024.02.27 Tuesday

相手は本当に楽しんでいるのか、自分の発言を聞いて不快に感じていないか、自分のことを嫌いになっていないか。

このような会話中に感じる心配は杞憂なのかもしれません。

米コーネル大学のエリカ・ブーシュビー(Erica Boothby)氏らの研究チームは、初対面の人との会話において「相手がどれだけ楽しんでいるか」の予測が悲観的な方向に歪むことを報告しました。

研究チームはこの現象を「好意ギャップ」と呼んでいます。

また「好意ギャップ」は会話の長さを問わず見られ、初対面での会話から約5カ月持続することもわかっています。

研究チームは「会話などの社会的な相互関係において、人は慎重になり、自分が相手にどのような印象を抱かれているのかに関して確信が持てず、否定的な評価を下してしまう。自分の能力や容姿などの他の分野では楽観的であるのにも対し、会話に対しては悲観的になってしまうのは驚きだ」と述べています。

研究の詳細は学術誌「Psychological Sciece」にて2018年9月5日に発表されています。

Why You Should Talk to Strangers https://www.psychologytoday.com/intl/blog/platonic-love/202304/why-you-should-talk-to-strangers People Like You More Than You Think, a New Study Suggests https://time.com/5396598/good-first-impression/ People Like You More Than You Know https://blogs.scientificamerican.com/illusion-chasers/people-like-you-more-than-you-know/ You probably made a better first impression than you think https://medicalxpress.com/news/2018-09-you-probably-made-a-better.html#google_vignette People Like You More Than You Think, Study Finds https://www.forbes.com/sites/alicegwalton/2018/09/07/people-like-you-more-than-you-think-study-finds/?sh=49378f07317e
The Liking Gap in Conversations: Do People Like Us More Than We Think? https://doi.org/10.1177/0956797618783714

相手が会話を楽しんでいるのか見極めるのは難しい

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この人は自分と話していて楽しいのかな?

会話中の相手の様子を見て、このように思ったことはありませんか。

他人と会話をすることは社会生活を送る上で欠かせないことです。

会話は新たな人間関係の構築、情報伝達と理解、感情の表現と共感のために必須のものですが、同時に相手との関係における不安を誘発するのも確かです。

会話相手が本当に楽しんでいるのか、自分の発言を聞いて不快に感じていないか、自分のことを嫌いになっていないか。

このような不安が湧いてくるのは実際に相手が自分を不快に感じてるからなのでしょうか? それとも勝手に自分の中で作り上げた相手の気持ちなのでしょうか?

もしこの不安が観察に基づいたものではなくただの妄想であるならば、本来お互いに好意を持って仲良くなれるはずなのに、自分から距離を取って新たな人間関係の形成を阻害していることになります。

そこで米コーネル大学のエリカ・ブーシュビー氏(Erica Boothby)らの研究チームは、人は会話相手が抱いている好意をどれほど正確に認識できるか調査することにしました。

実験に参加したのは大学生36名です。

参加者は2名1組でペアを組み、相手の出身地や趣味を尋ねる簡単な会話をしました。

そして会話終了後、参加者には相手への好感度と、相手が自分に抱いた好感度の予測を回答してもらいました。

実験の結果、参加者は実際よりも相手の好感度を過小評価する傾向があると確認されました。

実験の結果の改変。
実験の結果の改変。 / Credit: Boothby et al., (2018).

これは、多くの人が相手を不快にさせたり退屈させていないか? という不安を会話時に感じていることを示しています。

彼らは、会話相手の好感度を実際より低く見積もってしまうこの現象を「好意ギャップ」と呼んでいます。

ではなぜ「好意ギャップ」は生じるのでしょうか。

研究チームは、「好意ギャップ」が生じる原因について、2つの可能性を予測しました。

1つは会話相手への好意を見える形で表現する人が少ないこと。

もう1つは、会話中に相手が示す好意のサインを、主観だと見落としてしまうこと。

この疑問に答えを出すために、先ほどの実験の録画を第三者に見せ、参加者同士が会話中相手にどれくらい好感度を抱いていると思うか評価してもらいました。

すると、第三者視点では「好意ギャップ」は生じず、実際に話者が相手にどの程度の好感度を抱いているかうまく評価できたのです。

つまり、会話を客観的に観察できた第三者は話者の相手に対する興味・関心のサインを正しく読み取ることできたのです。対して、会話の当事者たちはそれらのサインを見逃していたと考えられます。

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