読むと死ぬ「殺人ブック」?中世の古書から猛毒のヒ素が発見される

chemistry 2018/06/29
Credit: SDU / ヒ素が発見された本のうちの1つ
Point
・古書3冊のカバーから猛毒のヒ素が発見された
・研究者が本のX線調査に失敗した理由を探したところ、ブックカバーからヒ素が発見
・19世紀に本の保存のためにヒ素の顔料がカバーに用いられたと考えられている

南デンマーク大学の図書館で古書のカバーから、なんと猛毒のヒ素が発見されました。ヒ素が含まれていた本は3冊で、それぞれ16世紀から17世紀に作られたものです。

今回発見に至ったのは、本に中世の原稿が使われているためでした。16世紀から17世紀のヨーロッパの製本業界では原稿をリサイクルすることが多く、本のカバーを別の原稿用紙で作成することもあります。これをX線スキャンすることで隠された文書を読むことができるのです。

Credit: Leiden, University Library / 製本のためにリサイクルされた原稿

大学の研究者は、図書館にある3つの本をスキャン。しかし、本のカバーが別のもので覆われているために原稿を見つけられませんでした。その原因を調べるため、マイクロXRFと呼ばれる装置を使用して本のカバーを調査しました。

その結果、カバーに用いられた緑色の顔料から、ヒ素が検出されたのです。ヒ素は化学物質中で毒性が強く、ヒ素中毒になると腹痛や嘔吐、多臓器不全に陥り、重篤な場合は死に至ります。

では、なぜヒ素などという危険な物質が本に含まれていたのでしょうか?

それは、ヒ素を含む化合物で「パリグリーン」と呼ばれる顔料が19世紀に多用されていたためだと考えられています。パリグリーンは別名「エメラルドグリーン」と呼ばれる、19世紀初頭にドイツで工業化された人工顔料で、過去には殺虫剤や農薬として盛んに用いられていました。

Credit: /MONNIN Jacques/ WIKIMEDIA COMMONS

また、パリグリーンは非常に鮮やかな緑色を発するために絵画やブックカバー、ドレスなど様々なものに用いられました。しかし、その強毒性のために現在では規制がかけられています。

今回のケースは、ブックカバーに薄くヒ素が塗られていたことから、古書を害虫から守るために軽く塗装されたと推測されています。

ヒ素が発見された3冊の本は現在、別々に分けて換気された場所で保管されています。図書館は、これらの本をデジタル化して安全に読めるよう考案中です。

 

もしかしたら、まだどこかの図書館にも殺人ブックが眠ってるかも…?

 

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via: DailyMail / translated & text by ヨッシー

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