N極かS極だけの理論上の磁石「モノポール」の存在が「量子ガス」によって示される

quantum 2018/07/04
Credit: Joint Quantum Institute
Point
・単磁性を持つモノポールは理論的には存在が予言されているが、今まで存在する証拠はなかった
・極低温の量子ガスを使って4方向の磁性スピンからなるトポロジカルな「スピン空間」内に原子を通してスタート地点まで戻し、通した原子のスピンの向きをスタート時点と比較
・原子のスピンの方向と大きさに変化があり、この変化はヤン・モノポールの理論と一致、モノポールの存在を示唆

死後の世界は「存在する」?量子力学が導くアフター・ライフの存在

磁石には、棒状だろうと電磁石であろうと、2つの極があるのが普通です。もし磁石を2つに分断したとしても、極はばらばらにならず、それぞれがN極とS極をもつ2つの小さな磁石になります。

しかしある物理学の学説では、電荷がプラスとマイナスを持つのと同じ様に、単独の極を持つ磁石、磁気モノポールの存在を予言しています。特にそれを表しているのが素粒子物理学を背景としたヤン・モノポール解ですが、いまだかつて実際に観測されたことはありませんでした。

しかし“Science”で発表された研究によると、極低温のルビジウム原子からなるガスを使って、ヤン・モノポールをエミュレートすることに成功しました。この研究は、極低温の量子ガスを使って他の分野の物理学をシミュレーションする試みに新たな成果をもたらしました。

Second Chern number of a quantum-simulated non-Abelian Yang monopole
http://science.sciencemag.org/content/360/6396/1429

「この新たな結果は、素粒子物理学であるヤン・モノポールから生まれたアイディアと、凝縮物質物理学の概念であるトポロジカル相転移をリンクさせ、原子物理学の研究室で現実のものとしたのです」と論文の著者は言います。

ヤン・モノポールを量子ガス内で検出するため、研究者らは、原子が内部に持つ方位磁石のような磁性のスピンの方向を特定の方向へ向けるために電波とマイクロ波を使いました。

原子を4つの異なるスピンの方向の間で循環させることで、原子を「スピン空間」を通して旅立たせ、スタート地点に戻すことができました。それは地球上の旅行者が、丸い地球を一周するのに似ています。両者の違いは、地球表面が2次元であるのに対して、こちらが4次元であるということでしょう。

チームは旅が完了した後の原子のスピンの方向を測定し、スタート時点での方向と比較。その結果、原子のスピンがスタート時点の方向に戻っておらず、湾曲した空間を旅する間にこの不一致が引き起こされ得ることを発見しました。その場合、方向角の大きさと方向は、ヤン・モノポールによって作られたカーブから予想されるものと一致していました。

この方向角が本当にモノポールによるものか、あるいは他に原因があるのかを調べるために、原子をモノポールによって作られる空間を曲げる特異点を避けるように、別の旅へと送りました。新しい経路では、原子はカーブに引きずられてスピンの方向角を変えることはありませんでした。これはつまり、原子がモノポールの影響を及ぼす領域の影響から脱していたことを強く示唆しています。

モノポールの影響のオン・オフが、原子の通った経路の大局的な形に依存しており、経路上の小さなゆらぎによらないということは、この効果がトポロジカルであることを示しているのです。

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

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