アインシュタイン再び勝利。中性子星と白色矮星の重力をテストした結果、「落ち方」に差はないと判明

space 2018/07/05
Credit: / NRAO/AUI/NSF; S. Dagnello / 三重連星PSR J0337+1715のイメージ
Point
・一般相対性理論に対抗する代替理論では、中性子星のような極端に重たくて小さな物体は他の物体とは異なる落ち方をすることが予想されている
・中性子星を含む三重連星が見つかり、長期の観測によって星系の重力が求められる
・その結果、中性子星と白色矮星の間の落ち方に意味あるほどの違いはなく、アインシュタインの重力理論をサポート

アインシュタインの一般相対性理論から導かれた重力の解釈によると、すべての物質はその質量や構成にかかわらず同じ速度で落ちます。この理論は地上で何度もテストをクリアしていますが、強い等価原理として知られる自然の性質は、宇宙で最も質量が高く密度の高い物質でも成り立っているのでしょうか?

天文学者たちの国際チームが、この質問に対して厳格なテストを実施。その結果は“Nature”で発表され、アインシュタインの重力に対する洞察が、宇宙の中で最も極端な状況においても、説得力を持っていることを示しました。

Universality of free fall from the orbital motion of a pulsar in a stellar triple system
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0265-1

空気を取り除くと、金づちと鳥の羽は同じ速度で落ちます。これは1500年にガリレオによって調査された概念ですが、アポロ15号の宇宙飛行士が月の上で実演したのが有名です。

このニュートン物理学の基本原則がなぜ、どのように起こるのかを説明したのが、アインシュタインの重力理論です。これまでアインシュタインの方程式は、実験室内での実験から太陽系の惑星の観測に至るまで、すべてのテストをパスして来ました。

太陽系外の銀河でもアインシュタインの「一般相対性理論」が成立すると確認

しかし、アインシュタインの一般相対性理論に対抗する代替理論は、中性子星のような小型で非常に強い重力を持つ物体は、もっと軽い普通の物質に比べると、わずかに異なった落ち方をすると予想していました。代替理論が予測するこの違いは、物質を結びつけている重力である重力結合エネルギーによるものとされています。

2011年、全米科学財団(NSF)のグリーンバンク望遠鏡(GBT)は、極限環境でこの理論を検証するための実験場を発見しました。PSR J0337+1715と名付けられた、4200光年先にある三重連星です。この星系には中性子星があり、1.6日周期で白色矮星を周回しています。このペアはまた、遠くにある他の白色矮星を327日周期で周回しています。

Credit: ASTRON / 三重連星を観測していたオランダのウェスターボーク合成電波望遠鏡

発見以降、この三重連星は、GBTや他の電波望遠鏡などによって定期的に観測されました。この中性子星はパルサーであり、非常に精密に高速回転しています。その正確さは原子時計に匹敵するほどです。感度の高いGBTによって観測されたそのパルスは、一秒間に366回。そしてそのすべてのパルスを正確に示せると、研究の筆頭著者であるアムステル大学のアンネ・アーチバルド氏は言います。また、その位置の特定も、数百メートルの範囲内でできるそうです。

もし代替理論が正しいとすれば、中性子星とペアになっている白色矮星は、遠方の白色矮星に対してそれぞれ異なる落下をするはずです。なぜなら、白色矮星は中性子星ほどの重力結合エネルギーを持たないからです。

細心の観測と計算によって、中性子星のパルスから星系の重力をテストすることができ、その結果、中性子星と白色矮星の加速度に、検出できるほどの大きな違いは見られませんでした。もしあるとしても、それは百万分の3程度とのこと。

この結果は、それまでの重力研究で得られていた最良の結果よりも10倍も正確であり、アインシュタインの強い等価原理を強くサポートする証拠となりました。またしても、アインシュタインの大勝利というわけです。

 

via: Phys.org / translated & text by SENPAI

 

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