「暗黒物質がない銀河」、実はあるんじゃないかという研究

space 2018/07/08
Credit: NASA, ESA, and P. van Dokkum (Yale University) / 暗黒物質を持たないとされたNGC1052-DF2
Point
・以前の研究で、NGC1052-DF2銀河はダークマターを持たないとの研究が発表され逆にダークマターの存在可能性が強まる
・同銀河を過去のデータから調べ直した結果、銀河との距離の測定を誤った可能性が示される
・新たに求められた距離で銀河の質量を計算すると、通常の銀河と変わらない速度ということになりダークマターを持つのと同じことになる

以前ナゾロジーでも報じた「ダークマター(暗黒物質)を持たない銀河」を覚えていますか?

暗黒物質がない銀河を発見、逆に暗黒物質の存在を証明へ

ニュートン力学やアインシュタインの重力理論から導かれる動きをすることから、ダークマターを含まないとされた銀河です。この銀河の存在は、逆にダークマターの存在を支持し、修正ニュートン力学(MOND)の可能性の芽を摘みました。

しかし、ここに来てこの発見自体の手法に問題があり、実はダークマターを持つのと同じふるまいをするのではないかというクレームが出されました。この研究は査読のある論文誌にはまだ発表されていませんが、arXivで公開されています。

A distance of 13 Mpc resolves the claimed anomalies of the
galaxy lacking dark matter
https://arxiv.org/pdf/1806.10141.pdf

そもそもの“Nature”で発表された論文では、銀河NGC1052-DF2(略してDF2)の内部の天体のスピードからDF2全体のスピードを計測し、そのスピードが、見えている通常物質の量から重力理論を使って推測されるものと一致していることから、この銀河はダークマターを持たないとされていました。これに疑問を呈した新たな研究では、このDF2が1976年の観測ですでに発見されていて、3つの異なる名前がつけられていたといいます。

それは、KKSG04,PGC3097693と[KKS2000]04です。これらの名前を使って銀河に関する多くのデータを集めて再調査したところ、元の研究で「研究者がこの銀河までの距離の測定を単純に間違えていた」という結果が得られたとのこと。つまり、この銀河と地球の距離は、元の論文で主張されるものよりもずっと近いというのです。

天文学者たちは銀河の重さを、銀河の明るさと距離から計算します。もし銀河がより近くにあったとすると、銀河の質量はもっと軽かったということになります。そして新たに得られた質量を元に計算し直した結果、この銀河の特徴は理解の範囲内に収まったと言います。銀河の遠い端の天体のスピードが遅かったのは、ダークマターがなかったためでなく、単純に銀河自体が軽かったからだということです。

しかし、元のNature論文の著者ピーター・ヴァン・ドッカム氏も黙っていはいません。研究で得られた結果はハッブル宇宙望遠鏡で得られた高解像度のものであることを強調し、彼らの方こそ間違えているのでは?と言います。

そして、もし彼らが言うようにDF2が近くにあるのだとすれば、この銀河は個々の星の海として解像するだろうとしています。一方のarXiv論文の著者であるイグナチオ・トルヒーヨ氏は、実際に画像のコントラストを上げると個々の星々が見ることができると言います。加えて、測定に使った方法は独立した5つの方法であり、どの方法でも同じ値に収束したと言って反論しています。

果たして、ダークマターはあるのでしょうか?今回のクレームが事実だとすると、MOND論者たちは息を吹き返すことになります。しかし、アインシュタインの重力理論は、つい最近ナゾロジーで紹介したとおり、正しい可能性がさらに高まっており、修正論者は旗色が悪そうです。果たして論文はアクセプトされるのか?ダークマターの存在やいかに?経過を見守りましょう。

 

太陽系外の銀河でもアインシュタインの「一般相対性理論」が成立すると確認

 

via: Live Science/ translated & text by SENPAI

 

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