人類の起源はアジア? ホモ・エレクトスがアフリカを出た時期、従来の説より25万年早いと判明

history_archeology 2018/07/12
Credit: ZHAOYU ZHU
Point
・これまでアフリカから人類が出てきたことを示す最古の痕跡は185万年前のものだった
・中国の黄土高原で石器が見つかり、その地層の年代を測定した結果160万年から210万年前であったことが分かる
・ホモ・エレクトスの前に、アフリカからユーラシア大陸に移動していたヒト族がいた可能性

200万年以上昔、人類の先祖はすでに世界を旅しており、アフリカからアジアに出てきていたことが、中国中央北部の崖の壁面から見つかった石器からわかりました。

発見された道具の年代から考えると、現生人類の祖先がアフリカを出たのが、考えられていたより少なくとも25万年は早かったことになります。このことは、「鍵となる人類の祖先ホモ・エレクトスがアジアを起源としており、アフリカでは無い」とする少数派の見解を支持していることになります。

Hominin occupation of the Chinese Loess Plateau since about 2.1 million years ago
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0299-4

アフリカの外で見つかった今までで一番古い人類の祖先の証拠は、ジョージアのドゥマニシで発見されたものです。そこで見つかった背の低い人類の化石は、185万年前の初期のホモ・エレクトスのものであり、アフリカで現れた直後のものだと考えられていました。

中国やインドネシアにおける初期の人類が活動した痕跡の中で最も古いものは、150万年から170万年前の化石と石器です。その中には、新たに年代がわかった道具の発見場所から4km南で見つかった、ホモ・エレクトスの頭蓋骨が含まれます。

これらの石器や化石が示す痕跡は、私達が属するホモ属の初期のメンバーがおよそ280万年前にエチオピアに現れた後、200万年前にいたるまでそこを離れなかったということを示していて、東アジアに到達するにはもっと遅い時期であったということになります。

Credit:ZHAOYU ZHU / 200万年以上前のものとみられる珪岩の欠片

しかし今、この見解は変更を迫られています。今回、北京の南西約1200kmにある黄土高原のシャンチェンで新たな証拠が見つかったからです。中国の研究チームが、シャンチェンの峡谷にある険しい崖の壁面から、96点の尖頭石器、剥片石器、石核石器を出土しており、これらは骨髄を得るために動物の骨を割ったり、砕いたりするのに使われたと考えられています。またレイヨウ、鹿、そして豚の骨がこれらの石器と共に見つかりました。

中国科学院広州地球化学研究所の地質学者ジャオユー・ツー氏に率いられたチームは、これらの石器が出土された地層の年代を決めるために、古地磁気学的方法を用いました。シャンチェンの地層には、放射年代測定で使える基準となる物質が含まれていなかったためです。

古地磁気学的方法では、地磁気の変動が岩石の中で記録されることを利用して地層の年代を決めます。その結果、石器の見つかった時代は、160万年から210万年昔であったことがわかりました。つまり、ヒト族の何かが、考えられていたよりも少なくとも25万年早くアフリカを出ており、85万年はシャンチェンで生活していたということになります。

この結果は、ヒト族は考えられていたよりも早い段階すでに高い適応能力があったということを示しています。なぜなら、アフリカとは違ってシャンチェンでは気候の変動があり、寒い環境に適応する能力がないと生きていけなかったと考えられるからです。当時、まだヒト族は大きな脳を持たず、使う道具も洗練されていませんでした。

発見された石器を使っていたヒト族が何だったのかはわかりませんが、今回、ホモ・エレクトスがアフリカを最初に出た人類ではなかった可能性が浮上しました。しかし逆に、「ホモ・エレクトスがユーラシア大陸で進化しアフリカに戻った可能性もある」と研究者は述べています。

 

via: Science / translated & text by SENPAI

 

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