毎日30分のゲームで「統合失調症」が改善できると判明!
毎日30分のゲームで「統合失調症」が改善できると判明! / Credit: canva
psychology

【原点にして頂点】マリオ64をプレイするだけで「脳の状態」が良くなる!

2024.07.12 Friday

統合失調症は「ゲーム」で治療できるかもしれません。

統合失調症とは、感情や思考がまとまらなくなる病気で、約100人に1人の割合で見られるメジャーな精神疾患です。

そんな中、独ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センター(UKE)は最近、ゲームをプレイすることで統合失調症患者の認知機能とメンタルヘルスが有意に改善できることを報告しました。

今回の治療実験で使われたのは、日本生まれの大人気ゲーム「スーパーマリオ」です。

研究の詳細は2024年5月28日付で医学雑誌『Translational Psychiatry』に掲載されています。

Video games boost cognitive function and mental health in schizophrenia patients https://www.psypost.org/video-games-boost-cognitive-function-and-mental-health-in-schizophrenia-patients/
Videogame training increases clinical well-being, attention and hippocampal-prefrontal functional connectivity in patients with schizophrenia https://doi.org/10.1038/s41398-024-02945-5

実はゲームは脳にいい?

ゲームが病気の治療に役立つ」と聞くと、多くの人は意外に感じるのではないでしょうか。

たいていゲームは健康や発育にとって目の敵にされやすく、皆さんも幼少期に「ゲームばかりするとバカになるよ!」と母親に叱られた記憶があるかと思います。

ところが近年の研究では、ゲームをプレイすることで健常者の認知機能やの構造を改善できることが示されつつあるのです。

実はゲームは脳にいい?
実はゲームは脳にいい? / Credit: canva/ナゾロジー編集部

こうした効果はゲームに特有の目標志向から生じると指摘されています。

例えば、マリオならピーチ姫を救い出すとか、ポケモンならチャンピオンになるとか、ゲームの大半はプレイヤーに「何らかのステージやミッションをクリアする」という目標を与えるものです。

専門家らは、このように目標を追うことがプレイヤーの脳の報酬系を活性化させて、神経可塑性を高めるのだと説明します。

神経可塑性が高まるとは、脳の神経細胞のネットワーク間に新たな接続を作り出すことで、脳の構造が再配線され、認知機能が改善されることを意味します。

これを踏まえて研究チームは今回、ゲームをすることが「統合失調症」の改善に役立つのではないかと予想しました。

というのも統合失調症では、脳の神経可塑性が低下することで、認知機能やメンタルヘルスが悪化することが知られているからです。

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