「社会的な孤立」が進化の上で重要であるという研究

animals_plants 2018/08/05

Point
・社会的交流が個体の持つ能力であると同時に環境も生み出すので、社会的孤立が進化に重大な影響を与える可能性がある
・オーストラリアのヒキガエルは冒険的な探索で孤立すると、性的な魅力が増すことが知られている
・孤立時間の定量化によって、比較研究を進める計画である

これまで進化の鍵は「繁殖」であると考えられてきましたが、一見マイナスイメージのある「社会的な孤立」が重要になる可能性があることを、新たな研究が示しています。

Evolutionary Consequences of Social Isolation
https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S0169-5347%2818%2930120-4

霊長類だけでなくヒキガエル、アリや甲虫といった動物では、環境によって異なった遺伝子を発現します。進化研究において、社会的交流の重要性が強調するセントアンドリュー大学のネイサン・ベイリー博士とジョージア大学のアレン・ムーアによる研究では、「もし親と子の結びつきや、資源やを巡る競争、求愛や交尾の儀式が重要であるなら、孤立にも同じような注意を向ける必要がある」という結論を導き出しました。

動物は、経験する環境によって、どの遺伝子がいつ、どれだけ発現するかに影響を受けます。よって、社会的な孤立という状況も、異なる形質を導く発現を引き起こす可能性があるのです。続いて、それは生存や繁殖に関して自然選択の働き方に影響し、進化的な帰結を産みます。ある種にとっては、一時的な社会的孤立は好ましいものにさえなり得るとのこと。

例としては、オーストラリアの外来のオオヒキガエルは、新しい縄張りを探索するために単独で冒険することがよくあります。そしてこの孤立が、再び社会的な環境に戻った時に、異性に対する非常に強力な魅力をもたらすのです。それは交尾の成功率を上げるので、種にとっては、新しい地域に繁殖域を広げることに役立っています。

同じように、ヨーロッパのある種のアリは、中毒症状にかかったら隠遁することが知られています。それによって、巣の他のアリに感染することを防ぐのです。

「社会的交流の中で機能する形質は存在しえます。自然選択によって形成されてきているからです。しかし同時に社会的交流そのものも、ある種の環境であり、選択圧によって個体の行動を変えることができます」とベイリー博士は言います。つまり、社会的交流には形質と環境の2面の特徴があるということです。

彼らは「社会交流インデックス」と呼ばれる計測法を提唱しています。それにより、一匹で過ごした時間といった個体の孤立の絶対量を、比較できるようになります。研究者たちは、最高の生存と繁殖のレベルを、結果としてもたらす個体を探すテストによって、交流と孤立の最適なバランスを測定しようと計画しています。

この理想値と実際の世界の観察を比較することで、研究者たちは動物が本来あるべきレベルよりも孤立するケースが多いのか少ないのか、理解したいと思っています。それは、より効果的な保護戦略や再導入モデル、繁殖プログラムなどにつながるでしょう。

 

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via:Sky News/ translated & text by SENPAI

 

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