また宇宙で一般相対性理論の正しさが証明される 超大質量ブラックホールの近くでは初めて

space 2018/07/27
Credit: M. KORNMESSER / ESO
Point
・天の川銀河の中心のブラックホールを周るS2という恒星が、ブラックホールに最接近
・ブラックホールの重力場による重力赤方偏移がS2で観察され、一般相対性理論の正しさを再確認
・ブラックホールの近くで重力赤方偏移が観測されたのは初めて

天の川銀河の中心にある、怪物級のブラックホール。その周りを周る1つの恒星によって、アインシュタインの重力理論が正しいとする新たな証拠がもたらされました。

100年以上昔、アインシュタインの一般相対性理論によって、重力は物質が時空の織物を曲げた結果であることが示されました。そして7月26日、“Astronomy & Astrophysics”で掲載された新たな論文は、重力赤方偏移として知られる一般相対性理論の特徴を観察したと報告。この観測は、超大質量ブラックホールの近くで一般相対性理論が証明された初めての例となります。

Detection of the gravitational redshift in the orbit of the star S2 near the Galactic centre massive black hole
https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833718

光が強い重力場から逃れる時、その波長は引き伸ばされて赤みを増す方向に変化します。この過程が、重力赤方偏移として知られているものです。GRAVITYコラボレーションとして知られる科学者たちのチームは、アタカマ砂漠の超大型望遠鏡VLTを使って、この恒星の光が一般相対性理論で予測されたのと同じだけ赤方偏移していたことを示しました。

科学者たちはこれまでも、重力赤方偏移を観測しています。人間が普段使用しているGPSは、重力赤方偏移が働かなければ正しく機能しません。しかし、この効果がブラックホールの近傍で観察されたことは今までありませんでした。

天の川銀河の中心には超大質量ブラックホールが潜んでいます。その質量は太陽の400万倍といわれており、多くの恒星がこのブラックホールの周りを回っています。そして研究者たちが注目したのが、S2と呼ばれるブラックホールの周りを16年周期の楕円軌道で回っている恒星です。

2018年5月、この恒星は光速の3%という恒星としては異常な速さで、ブラックホールに最接近しました。ブラックホールまでの距離は200億km。遠いように聞こえますが、太陽と海王星間の距離の4倍ほどの距離しかありません。

ブラックホールのそばで一般相対性理論の効果を測るのは難しいことです。銀河の中心には多くの恒星がひしめき合っていて、通常の望遠鏡で観察しても巨大な滲みにしか見えないのです。

そこでこの星の大群から、個別の星を正確に測定をするために使われたのが「補償光学」と呼ばれる技術です。この技術は地球大気による歪みを相殺することができます。そしてVLTの4つの望遠鏡を使って、それらの情報を結合するというわけです。マックスプランク研究所の天体物理学者レインハード・ゲンゼル氏と共同研究者は、16年前にこの星がブラックホールに接近する以前から観察を続けていました。

将来的には、一般相対性理論の他の側面である近点移動への効果が、S2にも起こるのかを確かめたいと研究者たちは望んでいます。

 

太陽系外の銀河でもアインシュタインの「一般相対性理論」が成立すると確認

 

via: Science News/ translated & text by SENPAI

 

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