「脳トレ」では脳をトレーニングできないと判明

Point
・「脳トレゲーム」に認知能力を向上させる効果がないことが判明
・同じ脳の領域を使う「2つのゲーム」を用いた実験において、最初のゲームのトレーニングによって2つ目のゲームのパフォーマンスが上がることはなかった
・認知能力の向上には、良い睡眠や定期的な運動など他に実証されたものがあり、そちらに目を向けるべきである

ウェスタン・オンタリオ大学の神経科学者の研究チームが、「脳トレゲームが上手くなるほど認知能力が向上する」といった主張が誤りであることを指摘しています。

研究では、ある脳トレゲームを数時間体験してもらった後に、脳の「同じ領域」を使うとされる他の脳トレゲームをプレイしてもらいました。もしこれでパフォーマンスが上がれば、脳トレゲームにワーキングメモリを向上させる効果があることになります。

Targeted training: Converging evidence against the transferable benefits of online brain training on cognitive function
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002839321830321X?via%3Dihub

しかし、残念ながら期待された効果は示されませんでした。最初のゲームでトレーニングをしていた被験者の「2つ目のゲーム」のスコアは、最初の脳トレゲームを体験していなかったグループのスコアと何ら変わりがなかったのです。

2010年にも同様の研究結果が出ています。著名な神経科学者であるエイドリアン・オーウェン氏が率いたその研究では、11,000人もの被験者に対し、6週間かけて「脳トレ」を体験してもらいました。しかし、いかに脳トレが得意になろうとワーキングメモリやIQが向上することはありませんでした。

今回の研究の筆頭著者であるボビー・ストジャノスキー氏は、次のように結論づけています。「記憶や脳の健康を改善するための方法は、良い睡眠、定期的な運動、良い食生活など様々なものがあります。私たちはこれらの確かな方法にフォーカスを当てるべきです。本当に自分の認知能力を高めたいと思っているのであれば、脳トレゲームをする代わりに散歩やジョギングにでかけ、友人と交流したほうが、あなたにとってよっぽどプラスとなるでしょう」