地球と似た「生命発生の可能性」がある系外惑星を特定

space 2018/08/04

Point
・シアン化物や硫化物の混合液を紫外線下で反応させると生命に必要な構成ブロックができる
・その反応が起こる強さの紫外線の当たる範囲を「自然発生ゾーン」とした
・現在までに見つかっている系外惑星の中にもこのゾーンに存在するものがあり、ケプラー452bもその一つ

太陽系外の惑星の中で、地球に生命をもたらしたのと同じ「化学環境」を持ったグループが特定され、1日に“Science Advances”で論文が発表されています。

ケンブリッジ大学とMRC分子生物学研究所(MRC LMB)の研究者たちは、地球のような岩石型の惑星表面で生命が誕生する可能性は、主星から発される光の種類と強さに関係があることを発見しました。

The origin of RNA precursors on exoplanets
http://advances.sciencemag.org/content/4/8/eaar3302

地球では、紫外線(UV)が生命の構成ブロックを生み出す一連の化学反応の動力源となっています。論文で提案されているのは、十分な強さの紫外線を発する恒星が、その周回する惑星上で地球と似た方法で生命の始まりのきっかけを与えることができるのではないかというものです。

そして今回研究者たちは、主星からの紫外線が化学反応を引き起こすのに十分なだけ届き、惑星上に液体の水が存在できるハビタブルゾーンにも位置する惑星を特定しました。

「この研究は生命を探索するのに最適な場所を絞り込むことを可能にしました。私たちが宇宙でも孤独な存在なのかという質問の答えにほんの少し近づいたと言えます」と、ポール・リマー博士は言います。

この研究は、ケンブリッジのキャベンディッシュ研究所とMRC LMBの共同研究のもと行われた研究で、有機化学と系外惑星探索研究の協力の賜物といえます。この研究の元になったのは、ジョン・サザーランド教授の地球生命の化学的起源の研究。2015年、サザーランド教授の研究グループは、シアン化物が、致死的な毒であるにもかかわらず地球上で生命の起源となった原始のスープの鍵となる原料の一つであったことを提唱しています。

この仮説によると、隕石の炭素が若い地球に衝突し、大気中の窒素と反応してシアン化水素になったとされています。シアン化水素の雨が降ると、いろんな他の元素と反応します。その時のエネルギー源が太陽からの紫外線です。そしてその生成化合物がRNAの構成ブロックとなったのです。RNAはDNAと似て、情報を保存できる最初の生命分子であったと多くの生物学者は考えています。

研究室では、紫外線ランプの元でこれらの化学反応を再現し、脂質の前駆物質やアミノ酸、ヌクレオチドといった生きた細胞の基本構造物を生み出しました。その後、同様の実験を光のない環境でも行っています。「暗闇で起こる反応もあります。それは光のある環境での反応よりも遅いのですが、あるのです。どれくらいの光があれば、暗闇での反応を光での反応が上回るのかを見たいと思いました」と、キャベンディッシュ研究所のディダー・クェロッツ教授は言います。

暗闇での同じ実験が、シアン化水素と硫化水素を使って行われ、結果、生命の材料として使えない不活発な化合物が出来ました。一方で光のある環境では、生命に必要なブロックが出来ました。その後、研究者たちは光のある化学反応と闇の化学反応の比較をいろんな星の紫外線と照らし合わせました。恒星の周りの軌道上の惑星が利用できる紫外線量をプロットし、どの地点で光の化学反応が起こるのかを決定したのです。

彼らは、太陽と同じ程度の温度の星が、その惑星上で生命を生み出すのに必要な構成ブロックの生成に十分な光を放射していることを発見しました。一方、もっと温度の低い星は、ブロックを形成するのに必要なだけの光を放出しておらず、太陽フレアを頻繁に発している場合だけ、化学反応が段階的に起こります。化学反応を起こすのに十分な光があたっており、表面に液体の水が存在している惑星のある領域を、研究者たちは「自然発生ゾーン(abiogenesis zone)」と呼んでいます。

ケプラー宇宙望遠鏡で見つかったいくつかの星はこの自然発生ゾーンにあります。ケプラー452bもその一つで、地球のいとこと呼ばれています。NASAのTESSやジェームス・ウェブ望遠鏡といった次世代の望遠鏡が、将来多くの自然発生ゾーンにある惑星を発見することが望まれています。

もちろん、地球で起こったのとは違う過程で生命を生み出す惑星が存在する可能性はあります。

「生命の条件がどういうものか私にはわかりません。しかし、私達が知っている生命の例が今の所一つしかないことを考えれば、私達と似た環境の場所を探すのは理にかなっているでしょう。必要条件と十分条件を分けて考えることは重要です。構成ブロックは必要条件ですが、十分条件ではありません。構成ブロックの混合物を混ぜて何十億年掛けたとしても、何も起こらない可能性もあるのです。でも、少なくとも生命を探すに際して、必要条件のそろった場所を探したほうがいいでしょう」とリマー博士は言います。

最近の推測値によると、7億兆個もの地球型惑星が観測可能な宇宙にはあります。その中には自然発生ゾーンにあって環境が整っており、実際に生命が発生した惑星がある可能性は高いように思えます。私達はこの広い宇宙で一人きり、というわけではないかもしれません。

 

宇宙人が見つからない理由が明らかに? 原因は「リン」

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

SHARE

TAG

spaceの関連記事

RELATED ARTICLE