非常に強力な磁場を生み出す「浮遊惑星」が初めて観測される 質量は木星の12倍

space 2018/08/08
Credit: Caltech / Chuck Carter; NRAO / AUI / NSF / 「浮遊惑星」のイメージ
Point
・褐色矮星は恒星としては最小で、それより小さいと核融合せずに巨大ガス惑星になる
・VLAによる電波の観測で、褐色矮性よりも小さいと思われる天体からオーロラから放射された電波を観測
・同様の電波を探すことで、主星を持たない系外浮遊惑星も発見できる可能性

超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)により、太陽系外で惑星サイズの天体が初めて電波観測されました。この天体は、木星の12倍以上の質量があり、驚くほど強力な磁場を生み出すと同時に、主星を持たない「浮遊惑星」ともいえるべき惑星でした。

研究者によると、この天体は惑星と褐色矮星、あるいは“なりそこないの星”でもあります。さらに、恒星と惑星、両方の磁場形成過程を理解する助けとなる可能性があるとのこと。

The Strongest Magnetic Fields on the Coolest Brown Dwarfs

http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4365/aac2d5/meta

褐色矮星とは、惑星と呼ぶには質量が重い天体ですが、軽水素での核融合を継続するのに必要な質量までは持たない天体です。1960年台には、このような天体が存在することが予見されていました。そして初めて観測されたのが、1995年です。この天体は、最初は電波を放射しないと考えられていましたが、2001年にVLAがその中の一つに電波のフレアを発見し、強力な磁場活動を明らかにしました。

さらなる観測で、いくつかの褐色矮星が強力なオーロラを持っており、それが太陽系の大型惑星で見られるオーロラに似ていることが示されました。地球のオーロラは惑星の磁場に太陽風が作用することで起こります。しかし単独の褐色矮星は、近くの恒星からの太陽風などありません。どのように褐色矮星でオーロラが起こるのかはわかっていませんが、一つの可能性として、木星とその衛生のイオの間で起こるように、公転する惑星や衛星が褐色矮星の磁場に影響しているのではないかと考えられています。

今回発見された奇妙な天体、SIMP J01365663+0933473は、木星の200倍の磁場を持ちます。この天体が最初に見つかったのは2016年で、研究された5つの褐色矮星の1つです。研究は、磁場に関する新しい知見と、こういった天体の中で、冷たいものが強力な電波放射を起こす仕組みを解明するために行われました。褐色矮星の質量を求めるのは恐ろしく難しい上に、当時はこれらの褐色矮星はもっと歳をとっており、もっと重いと思われていました。

昨年、別の研究チームが、SIMP J01365663+0933473はとても若い恒星のグループの一部であることを発見。若いということは、実際はもっと軽い浮遊惑星である可能性もあります。質量は木星の12.7倍で、半径は1.22倍にもなります。年齢は2億歳で、地球から20光年の距離にあり、表面温度は825℃程です。

巨大ガス惑星と褐色矮星の違いは天文学者たちの間でも熱く議論されていますが、研究者たちが使う一つの経験則は、重水素の核融合が止まる質量として、木星の13倍付近の「重水素融合限界」があります。つまりこの天体は、この重水素融合限界付近にあるのです。

同時に、最初に2016年の電波放射を検出したカリフォルニア工科大学のチームが、新たな研究でこの天体を再び観測し、より高い周波数で、磁場が最初の測定よりも強いことを確認しました。

今回の発見によって、太陽系外にある惑星と考えられる質量の星が、強力な磁場を持ち、オーロラによる電波放射が起きていることが分かりました。太陽風のない所でなぜオーロラができるのかは未だ謎ですが、この電波を観測することで、系外惑星を探す新たな方法が得られたことになります。この方法なら、主星を持たない浮遊惑星さえ見つかる可能性があるのです。

 

via: NRAO/ translated & text by SENPAI

 

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