暗黒物質の証拠とされていた「銀河系中心の超過放射」の正体は、高速回転する中性子星だった

space 2018/08/09
Credit: Christoph Weniger, University of Amsterdam/FermiLAT / 銀河円盤からのガンマ線放出
Point
・10年前に銀河中心から謎のガンマ線放射を観測し、それが暗黒物質粒子の証拠であると期待されていた
・新たな解析で、この超過放射がミリ秒パルサーと呼ばれる高速回転する中性子星から放射されていると示される
・この結果により暗黒物質粒子発見の可能性の1つが潰える

天の川銀河の中心から発せられた、謎のガンマ線放射。ここ10年ほどこの放射は、研究者たちが追い求める「暗黒物質粒子」を起源としている可能性が考えられていました。しかし、アムステル大学とアヌシー・ル・ビュー理論物理学研究所の物理学者たちは、この放射の源が、「高速回転する中性子星」である可能性が高いとする証拠を発見しました。

The Fermi-LAT GeV excess as a tracer of stellar mass in the Galactic bulge
https://www.nature.com/articles/s41550-018-0531-z

謎に包まれたextended emissionと呼ばれる放射と不思議な拡散が、フェルミガンマ線宇宙望遠鏡のガンマ線放射の観測によって明らかになりました。この放射が発見されたのは10年ほど前。素粒子物理学者たちは当時、とても熱狂しました。なぜなら、長らく求められていた、銀河内部の暗黒物質粒子の自壊から生まれる信号のすべての特徴を持っていたからです。

このような信号を見つけることで、他の物質への重力的な影響でしか観測されない暗黒物質が、新しい素粒子で出来ていることを確認できるようになります。そのうえ、こういった暗黒物質粒子の質量や、他の特徴を決定することも可能になるのです。

しかし最新の研究が示したのは、「ミリ秒パルサーと呼ばれる高速回転する中性子星が、銀河のバルジ(渦巻銀河等の中央にあるふくらみ)に数千も存在する」というもので、これらの天体が今まで他の周波数では観測されていなかっただけだというものでした。

星がある所に放射あり

「この超過放射の形態とスペクトラムを知ることは、銀河中心の超過放射に対する天文学的解釈と暗黒物質を区別するために、非常に重要なです」と述べるのは、今回の研究に関わった研究者の一人であるクリストフ・ウェニガー氏です。

Credit: Christoph Weniger, University of Amsterdam

新たな研究により、この放射が実際は、銀河の中心とバルジの多くの星の質量が存在する領域から来ていることが分かりました。さらに研究者たちは、銀河バルジと中心の光と質量の比率が互いに一貫しており、ガンマ線GeV放射が驚くほど正確に銀河内部の星の質量をたどっていることを発見しました(上図参照)。この研究が元にしているのは、研究者が独自に開発した新しい解析法である“SkyFACT”です。画像解析と物理モデルを組み合わせることで詳細な解析を行うことができます。

この発見は、超過放射がミリ秒パルサーであるという解釈を支持しています。暗黒物質による信号も他の天文学的解釈も、このような相関を示すことが期待できないからです。

「この結果はMeerKATや将来のSKA計画での電波探索で、銀河バルジにある隠れたミリ秒パルサー群を探す助けとなるでしょう。将来の探索はより期待できるものとなったのです」と共著者のフランセスカ・カロール氏は述べています。

 

暗黒物質の謎解明からは遠のきましたが、新たな探索の助けになるとのことで、別の可能性からの発見も楽しみに待ちましょう。

 

暗黒物質の正体といわれる「アクシオン」を検出可能な測定装置が完成

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

SHARE

TAG

spaceの関連記事

RELATED ARTICLE