木の「樹皮」は、重力に対抗して成長するふしぎな力を生み出している

animals_plants 2018/08/12
Point
・木は重力に逆らって空に向かって伸びる性質があるが、それは内部の繊維の形成が起こす力によると考えられていた
・傾けた樹木は上に反り返って空に向かうが、中には樹皮を除くと曲がらなくなるものがあった
・樹皮の内部に格子状の構造があり、それが上へと伸ばす力を生む働きをしている

木は地球上でありふれた存在です。誰でも、木が地面から上方向に成長することは知っています。それは至って普通のことです。しかし、もしそうであるならば、木は重力に逆らって成長する必要があります。そして、今回研究者たちが、その秘密を解明したようです。そのヒントは「樹皮」でした。

Mechanical contribution of secondary phloem to postural control in trees: the bark side of the force
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30076782

この発見は、研究者たちにとって、驚きの事実でした。なぜなら科学者たちは長い間、「木の内部にある力で重力を相殺している」と考えていたからです。また、樹皮は皮膚と同様に、外部の脅威から植物を保護するという純粋な機能しか持たないと考えていました。

重力に逆らって成長するために、植物には2つのものが必要となります。一つは「骨格組織」です。この働きを持つのが幹で、固くて強く出来ています。しかし、それで十分ではありません。「運動組織」あるいは「筋肉組織」も必要となります。これによって、力を利用して木の姿勢を正すことができます。力は木を真っ直ぐ垂直に成長することを邪魔する重力に逆らって働くのです。

何年にも渡って、いくつかの研究が、木が垂直に伸びるのは木の中の繊維の形成によって生まれる内部の力によることを示唆しています。しかし数少ない他の研究では、樹皮が重要な役割を果たしている可能性が発見されました。

「現在の研究の目的は、アオイ科の木で上方向への動きに樹皮が機械的な寄与をしていることを調査することです。さらに、研究を広げて他の植物種でも、様々な生化学的な設計において樹皮の貢献が見られるのかを評価することも目的としています」

実験は9種の熱帯性の樹木に対して行われました。Cecropia palmataLaetia proceraPachira aquaticaSimarouba amaraVirola micheliiCordia alliodoraTarrietia utilisGossypium hirsutum, Theobroma cacaoの9種類です。この9種は幅広い樹木種を代表し、樹皮の形状も様々です。

各樹木種につき、8から15本をタネや苗木から研究室で育成。3から10ヶ月育った後、添え木をして45度の角度で植え替えました。添え木に沿って成長していた木は添え木が除かれると、地面と垂直方向へと修正して曲り、上方向へと成長しました。しかし、樹皮を除くと、9種の内5種は曲がらなくなりました。つまり、樹皮は木が空に向かい続けるための重要な役割を持っているのです。

研究の次の段階は、どのように樹皮が働いているかを知ることです。樹皮と幹の内部構造を研究したところ、樹皮の繊維が、ある種の格子のような構造を形成していることが分かりました。木が成長すると、樹皮の円周も増えます。それによって、格子が幹を上方向へと成長させる力を生み出します。

幹が傾けられると、面白いことがおこります。幹の上面で成長が早まるのです。それによって、格子が非対称的な力を生み出し、その結果幹の反りを引き起こすのです。それはまるでボートの片側でより強くパドリングすると曲がるようなもので、重力の効果を補完しています。

これは普遍的な効果ではありませんが、研究者は「維管束植物では広く行き渡っている可能性がある」とみています。

「今回の研究で見てきた種が表しているのは、良くデザインされた構造組織が姉妹細胞を導いて、制御する力において相乗的に働いているということです」と研究者は語っています。

 

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via: Science Alert / translated & text by SENPAI

 

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