観測史上、最も遠い電波銀河を発見

space 2018/08/09
Credit: Leiden Observatory / アリゾナ州の大双眼望遠鏡によって示された近赤外線画像。電波放出部分を白い丸で囲っている。
Point
・最も遠くにあることを示す、赤方偏移z=5.72を持つ電波銀河が発見される。
・今までで最遠とされていたものの赤方偏移はz=5.19で125億9000万光年の距離
・光は宇宙が10億歳のときのものであり、当時すでに超大質量ブラックホールによるジェットが形成されていたことになる

最も遠い電波銀河が最後に見つかってからおよそ20年。ついにその記録が塗り替えられました。

オランダ、ライデン天文台の博士課程の学生アアユシュ・サクセナによって率いられたチームが、現在の宇宙の年齢のたった7%の時期の、およそ120億光年以上の距離にある電波銀河を発見しました。この研究結果は、8月6日で“the Monthly Notices of the Royal Astronimical Society”で発表されています。

最初の発見は、インドにある巨大メートル波電波望遠鏡(GMRT)を使った観測です。銀河との距離の確認は、ハワイのジェミニ北望遠鏡とアリゾナ州の大双眼望遠鏡を使った銀河の赤方偏移の観測で行いました。

1999年に発見された赤方偏移z=5.19を持つ電波銀河が、今までで最遠にある電波銀河でした。今回観測された赤方偏移の値はz=5.72。これは、宇宙がほんの10億歳の時の光が感知されたということです。そして銀河からの光がおよそ120億歳であることを示しています。

天文学者は、銀河の赤方偏移の観測によってその距離を測ります。銀河が遠くにあればあるほど、速いスピードで私たちから遠ざかります。なぜ「赤方偏移」なのかというと、この銀河からの光は「光のドップラー効果」によってより赤くなるからです。そして遠ざかるスピードが速ければ速いほど、赤方偏移も大きくなります。

 

電波銀河は、宇宙では稀な天体です。超大質量ブラックホールを中心に持つ巨大な銀河で、周りにあるガスや塵を吸い込んでいます。この活動によって、高エネルギーのジェットが放出され、ジェットは大質量ブラックホールの周りにある荷電した粒子をほぼ光速まで加速することが出来ます。このようなジェットは電波の波長でとてもはっきりと観測できるのです。

このような銀河が遠くの宇宙に存在するという事実は天文学者たちを驚かせています。このように非常に遠方にある銀河を発見することは、銀河の形成や進化を理解するために重要となります。電波銀河の詳細な研究はまた、銀河の成長を加速し調節する原始的なブラックホールの形成の解明にもつながるでしょう。

筆頭著者のアアユシュ・サクセナ氏は、「これらの銀河がこのような短期間で、その質量にまで成長したのは驚きです」と述べています。光が放出された時期が宇宙が若かった時期ということを考えると、超大質量ブラックホールが成長するまでにあまり時間がなかったということになるからです。

次世代の電波望遠鏡と、世界でも最大級の光学・赤外線望遠鏡を組み合わせることで、さらに大きな赤方偏移を持つ電波銀河が、将来発見されることが期待されています。

 

説明不可能。宇宙で一番速く成長する謎の巨大ブラックホールを発見

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

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