レオナルド・ダ・ヴィンチの「奇妙な現象」がついに解明される

science_technology 2018/08/11
Credit: Tatae/istock
Point
・蛇口から流れ出た水が洗面台の面で勢いよく広がり、その縁に固定的な段ができる現象を「跳水」という
・跳水の理論的な説明は表面張力を無視した方法で行われていた。
・表面張力を考慮し、重力の影響を考えないことで跳水を理論的に説明できた

15世紀の大学者レオナルド・ダ・ヴィンチは、かつて「下流に向かって流れる水の渦」を見て非常に驚いたといいます。

例えば蛇口を開くと、洗面台の底に水が広がって流れます。大きくなる水たまりの端ではスピードが下がるとともに、水がたまり始めるまで、水が固定的な「段」を作っているように見えます。このとどまり続ける衝撃波は、堰の底、滝、潮津波でも見ることができ、実質上、十分に異なる速さで流れが接する場所ならどこにでも見られます。

この「跳水」と呼ばれる現象は、ダ・ヴィンチ以来、数え切れないほどの科学者たちを悩ませてきました。そして500年経った今でも、この「跳水」は不可解な現象だったのです。しかし今回、ケンブリッジ大学の物理学者がこの問題をついに解明したかもしれません。

On the origin of the circular hydraulic jump in a thin liquid film

https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-fluid-mechanics/article/

液体が異なる種類の流れにおいてどのように振る舞うかが詳細に考察されたのは、ダ・ヴィンチの覚書が初めてです。しかし、ダ・ヴィンチにとってこのように水が振る舞うことは水の純粋な性質であり、さらなる説明がされることはありませんでした。

世紀が過ぎ、18世紀のイタリアの物理学者ジョヴァンニ・バッティスタ・グリエルミニと19世紀のイタリアの数学者ジョージ・ビドーンは、この「水が作る段」に数学的な詳細を加えています。とはいえ、彼らもなぜ水がこのような波紋を作るのかを論じようとはしませんでした。

1914年には、物理学者のジョン・ウィリアム・ストラット氏が、潮津波と液体の衝撃波に関する論文で考察を試みています。彼の理論的な説明は、粘性と運動エネルギー、位置エネルギーを考慮に入れたものです。一方で表面張力は、「ある程度の役割をしていることは間違いないが、流れや平板状の水の深さが増した場合、簡便化のために最小化するとしてもよいのではないか」としています。

ストラット氏以後の他の研究者も、表面張力は些細なものであると無視しており、好まれるモデルは液体の早い流れの半径と跳水の高さの関係を粘性と慣性、重力の組み合わせで説明するものでした。水は表面に沿って流れるので、摩擦力が慣性に打ち勝ち液体の速度を下げ、速度の変化が十分に急激であれば、衝撃波が生み出され、そこに水が少しだけジャンプして積み重なります。段の大きさは、足元にある水の塊が押し返す力とバランスした、位置エネルギーの引き下ろす力によって決まってくると推測されています。重力が本当にジャンプの高さの決定に重要なのかは長い間議論されており、ダ・ヴィンチの興味を引いてからこの方、奇妙な水の崖の原因についてはわかっていませんでした。

新たな研究において、化学工学の研究者ラジェッシュ・バガット氏は、これまでの科学者たちが表面張力の影響を除外したのは「少し早計だったのではと考えた」とのこと。「私たちが示したのは、ジャンプする点において、表面張力と粘性の力が液体の薄膜における運動量と釣り合っており、重力は何ら重要な働きをしていないということです」

重力の効果を無視し表面張力に集中することができるようになったことで、界面活性剤を加えるといった跳水への操作を行う別の方法を試せるようになりました。「この過程を理解することは、大きな意味合いを含んでおり、工業用水の使用量を大幅に減らすことにつながるでしょう。この理論を使って車から工場の装置までいろんなものを洗浄する新しい方法を見つけることができるのです」とバガット氏は言います。

 

ダ・ヴィンチも今頃、水やその魅惑的な流れの性質を知って喜んでいるかもしれませんね。

 

なぜ「水」だけが特別なふるまいをするのか、その理由が解明される

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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