人魚は実在するのか?神話から現代に至る「人魚騒動」の歴史

animals_plants 2018/08/15

「人魚って本当にいるの?」

もし純粋な子どもにこんな困った質問をされたなら、あなたなら何と答えますか?

The Conversation” が “Curious Kids” のコーナーにおいて、その素朴な疑問に答えています。いつそんな質問をされてもいいように、ここで一つ勉強しておきましょう。

 

さて、結論から言います。残念ながら人魚は「いません」

映画や小説で活躍する人魚。その姿を見たと主張する人も少なくありませんが、それらの主張は単なる「いたずら」であったことがわかっています。

遠い昔に語られた「人魚」

「いない」と断言した人魚ですが、人々は遠い昔からその存在をテーマに、様々な逸話を残しているようです。

数千年前、現在の中東地域に位置していたシュメール王朝の神「アタルガティス」は、半分女性、半分魚の「人魚」として描かれていました。

1652年に描かれたアタルガティス。どこかシュール。

古代ローマの博物学者で「大プリニウス」として知られるガイウス・プリニウス・セクンドゥスは、「鱗(うろこ)」を身にまとった多くの人々が、浜辺に打ち上げられているのを見たと主張しています。

Credit: Mary Evans Picture Library Ltd/age fotostock / ガイウス・プリニウス・セクンドゥス

中世ヨーロッパにおいても、人魚に関する多くの描写が残されています。上半身が人間、下半身が魚として描かれたその人魚は、船から乗組員を引きずり下ろす「危険」のシンボルとされていました。

ギリシャ神話に登場する海の怪物「セイレーン」が船を襲う様子。中世以前は半分「魚」ではなく、半分「鳥」として語られた

「見間違い」のケース

アフリカや東南アジアの海に生息する「ジュゴン」

海中の探索が盛んになった頃、人々が「マナティー」や「ジュゴン」を人魚と見間違った可能性があります。長い尾を持つそれらの動物のフォルムが、それまで語られてきた人魚のものとよく似ていたのです。

頭部を見れば「人魚ではない」ことが一目瞭然な気もしますが、当時の人々の「人魚をひと目みてみたい」といった気持ちがそのような「見間違い」を引き起こしたのかもしれません。

払拭された悪いイメージ

ハンス・クリスチャン・アンデルセン

当時まだ「悪い出来事」の予兆として不吉がられた人魚ですが、1837年にクリスチャン・アンデルセンが童話『人魚姫(The Little Mermaid)』を発表して以来、そのイメージは一変します。

これまで船の乗組員を「死」に追いやるシンボルとして知られていたにも関わらず、それ以降は逆に人間の命を助ける存在として語られていったのです。

「ニセ人魚」で一儲けしたP・T・バーナム

2018年2月に日本で公開された、ヒュー・ジャックマン主演の映画『グレイテストショーマン』のモデルとなったP・T・バーナムは、人魚で集客することを考えた人物でした。

当時日本では「人魚職人」なる者が存在し、精巧な「ニセ人魚」を作っては見世物小屋にて披露していました。猿の頭を魚に縫い付けて作られたその模造品は、一見継ぎ目がわからないほど完成度が高く、多くの人を驚かせ、多くの金が動いたそうです。

そこに目をつけたのが心理学の「バーナム効果」でも知られるP・T・バーナムです。日本で購入したその「ニセ人魚」をアメリカで披露し、一山当てることに成功。人魚と言ってもその模造品は当然美しいものではなく、どちらかと言えばグロテスクなものでしたが、話題を呼ぶには十分なインパクトだったようです。

日本から海を渡ったとされる「ニセ人魚」

 

その存在に関する決定的な証拠はいまだに出てこない人魚ですが、これまでに多くの人が、その神秘的な魅力に取り憑かれていたことがわかります。

現実の世界において私たちが人魚を目撃できる日は来ないかもしれませんが、これだけ多くの文化の中でその存在を示してきた「人魚」は、すでに私たちの頭の中の「想像の世界」に息づいているのかもしれません。

 

「火を噴くドラゴン」が科学的に存在し得るのかを考えてみる

 

via: theconversation 他 / translated & text by なかしー

 

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