小さな銀河の衝突が未来の「星の種」になるかもしれない

space 2018/08/10

Point
・大きさに差のある矮小銀河同士の衝突では、より小さな銀河からガスが拡散し、かなり広くまで到達することがシミュレーションで示される
・広がったガスは天の川銀河のような大きな銀河に飲み込まれて新しい星が生まれる材料になる
・天の川銀河の新しい星の形成に使われるガスの半分が小マゼラン雲から来たものであるとされている

天の川銀河のそばで回転する一対の矮小銀河、大マゼラン雲と小マゼラン雲。それらは、私たちの銀河へと落下するなかで、一つに融合する苦しみがあったようです。

この矮小銀河の対は、天の川銀河が星を生み出すのに使う燃料の半分を供給するのに、十分なガスを持っていると考えられています。8月3日に“Monthly Notices of the Royal Astronomical Society”に投稿された研究では、天の川銀河のような銀河が、いかに容易にこのガスを捕えることができるかを示しています。

Modeling the Baryon Cycle in Low Mass Galaxy Encounters: the Case of NGC 4490 & NGC 4485
https://academic.oup.com/mnras/advance-article-abstract/doi/10.1093/mnras/sty2052/

何百万の星からなる矮小銀河と比べ、その百倍から数千倍の星を持つ天の川銀河。そのような大きな銀河には、矮小銀河は明るさで負けます。矮小銀河は明るくはありませんが、星を作るための燃料の豊富さでそれを補っています。大マゼラン雲と小マゼラン雲や、似たような矮小銀河で渦を巻いている水素ガスは、新しい星や小さな銀河の誕生に重要な働きを持つと考えられているのです。

矮小銀河の対による星形成能力を調べるために、コロンビア大学の大学院生サラ・ピアソン氏に率いられたチームは、2300光年の距離にあるNGC4490とNGC4485の対に着目しました。大マゼラン雲に似て、NGC4490は対になる銀河よりも数倍大きくなっています。しかし、その孤立した場所取りによって、天の川銀河の引力による妨害を受けることなく、NGC4485との融合をシミュレートすることが出来ます。

シミュレーションでは、大きい方の銀河であるNGC4490が、小さい方のガスを剥ぎ取る様子がみられました。これは、大きさの偏りによる重力効果です。対が互いにより近づいて回転するとともに、小さい銀河のガスの尾はどんどん遠くへ吹き飛ばされます。この発見は、今年初めの研究である「マゼラン雲からの天の川銀河へのガスの流れが小マゼラン雲のものである」という結果を支持しています。

シミュレーションの結果、NGC4490と小さな銀河が衝突して一つに融合した後もそのガスの痕跡は広がり続けるということが判明。50億年で、100万光年の距離を超えてガスの尾は広がり、この距離は現在の長さの約2倍です。「50億年後、ガスの10%が融合残骸の26万光年よりも遠くにとどまっていたことは、すべてのガスが残滓に戻ってくるまでに非常に長い時間がかかることを示唆しています」とピアソン氏は述べました。

シミュレーションの結果と実際のNGC4490と4485の望遠鏡による観察を比較すると、その結果はよく一致しており、モデルが正確であることが示されました。また、宇宙で再利用されるガスに関する天文学者達の知識とも一貫性があります。ガスの雲がより広がると、ガスはさらに開放され、近づいてきたより大きな銀河がこれを飲み込むことを容易にします。シミュレーションにより、この分散過程によって天の川銀河が効果的に小マゼラン雲のガスを吸い取りやすくしていることや、この手のガスの移転が宇宙のあちこちではありふれたことである可能性が示されました。

この研究は、矮小銀河の衝突の周辺のガスの濃度が減少すると新しい星が誕生しづらくなることも示唆しており、結果も観察と一致しています。研究者たちはモデルを精密にするため、他の矮小銀河の衝突についても研究を続ける予定です。

 

天の川銀河と「生き別れ」の兄弟銀河、アンドロメダ銀河に食べられていた

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

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