ガンマ線バーストが奇妙な「時間逆転性鏡面対称」の波を持つ可能性

space 2018/08/19
Credit: ESO/A. Roquette
Point
・光度の高いガンマ線バーストに、時間逆転性の対称性を持つシグナルが見つかる
・衝突体が中心から放出され、物質の雲を通り抜ける時に反射したり、雲が対称性を持つことが原因で逆転した放射が起こると推測
・星の死やブラックホールの形成を理解するための新たなツールとして使える可能性

ガンマ線バーストは、宇宙最大規模の爆発現象で、1秒で太陽一生分ものエネルギーを発するといわれています。ただその発生時間は0.01秒〜数分と非常に短いため研究しづらく、詳細な発生機構については天文学界でも合意が得られていません。しかし今回、その理解を助ける発見が発表されました。

研究結果は“The Astrophysical Journal”に掲載される予定で、現在は“arXiv”で読むことができます。

Smoke and Mirrors: Signal-to-Noise and Time-Reversed Structures in Gamma-Ray Burst Pulse Light Curveshttps://arxiv.org/abs/1804.10130

新しい研究では、6つのガンマ線バーストの光度曲線が、複雑な時間逆転性の波のような構造を持つという証拠を示しました。この構造は、各波間で時間が逆方向に繰り返すように見える現象です。これが大質量恒星の死について、新たな情報をもたらすと考えられています。

ガンマ線バーストの「発生元」は、完全には解明されていません。有力な説の一つは、中性子星同士の衝突によって起こるとする説です。他には、高速回転する大質量天体の崩壊で、中性子星、まだ理論上の存在であるクォーク星、ブラックホールなどがその過程で超新星や極超新星を生み出す際におこすという説もあります。

それらを検出できるのは、光線が直接私たちの方向を向いている場合だけです。そして、その距離は何十億光年も離れています。そのため、検出には非常に感度が高く、多くの光学的多様性を持つ装置が必要となり、結果としてシグナルには相当なノイズが混じることになります。

しかし、検出が難しいという意味ではありません。2004年に打ち上げられたNASAのガンマ線バースト観測衛星スウィフトは、2015年後期までに1000ものガンマ線バーストを見つけています。

ただしそういったノイズが困難にしているのが、バーストの光度曲線の詳細究明です。実際の感度が低い結果、シグナルの解像度が低くなり、ガンマ線バースト光度曲線の構造は「不鮮明」となります。

信号対雑音比を低くすると、中規模のバーストでは3つの頂点がある波として現れ、微かなものだと1つの頂点を持つものとして現れます。この操作を最小化する試みのために、1991年から2000年までに、NASAのBATSE装置のデータから例外的に明るい6つのガンマ線バーストを発見。そこで、複雑な時間逆転性の波のような構造を見つけたのです。さらに、この構造は最も明るいものに属するガンマ線バーストの光度曲線にしか見られませんでした。

「時間反転パルス構造の存在によって、ガンマ線バーストの物理モデルには強い物理的対称性と、一つの衝突体との相互作用を含むべきであると信じるに至りました」

ガンマ線バースト観測衛星スウィフト

では、これが実際に意味するものとは何なのでしょうか。可能性として考えられるのは、電子あるいはイオンの粒子の塊や、ソリトンといった濃縮された波が、ある種の衝突体として中央にある天体から高速で放出されたということです。この衝突体が、死にゆく星によって事前に放出された物質の雲の間を動くことで、放射を生みます。もし、それが同じ雲の中で部分的に反射して戻れば、同じようではあるけれど弱い放射を逆転させて放出することになるでしょう。

もう一つの解説では、もし物質の雲が放射状で左右対称である場合、たとえば連続した同心円状にある場合に衝突体がその中を反射されること無く一方向に動く場合を挙げています。物質が標的を横断して一方から他方へ動いているのを思い浮かべてください。標的の中心はリングよりも濃い雲です。衝突体がこの領域を通り過ぎると、「反射シグナル」に見えるものを生み出します。とはいえ、なぜそうなるのかは研究者にもわかっていません。

しかし今後この研究が、星の死やブラックホールの形成を理解するための新たなツールを天体物理学に提供すると期待されています。

 

暗黒物質の証拠とされていた「銀河系中心の超過放射」の正体は、高速回転する中性子星だった

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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