人間の「作業記憶」は想像以上に柔軟性があることが判明

brain 2018/08/19

科学誌eLifeに掲載された最新の研究によると、脳のワーキングメモリは一定ではなく、実行中のタスクに依存することが分かりました。

A resource-rational theory of set size effects in human visual working memory
https://elifesciences.org/articles/34963

ワーキングメモリとは、短い時間の中で情報を記憶し、処理する能力のことを指します。会話や読み書き、計算など、私たちの日常生活で頻繁に用いられている能力です。しかし、一度に多くを記憶しようとすると記憶の質は低下してしまいます。

これまで、ワーキングメモリにおける記憶量と質の関係性は、脳がワーキングメモリに一定量のリソースを配分するためだと考えられてきました。しかし、この考え方ではいくつかの研究と相容れません。また、多くを記憶する場合になぜ脳はワーキングメモリに多くのリソースを割り当てないのか説明がつきませんでした。

そこで、今回の研究を行った研究チームはある仮説を立てました。脳からワーキングメモリへ割り当てるリソースは一定ではなく柔軟なものだが、2つの相反する事柄のバランスを保とうとするというものです。2つの事柄とは、最大限度まで記憶力を用いることと最低限のリソースに抑えるということです。

研究チームはこの仮説をコンピュータモデルで再現し、公開されている実験データを用いてテストを実施。その実験の内容は、色付けされた数字を覚える記憶力テストで、色を正確に思い出そうとすると数字が思い出せなくなるというものでした。

テストの結果、コンピュータモデルは参考にした実験の結果とほぼ同様の結果となりました。このテストで仮説に基づいたモデルは、タスクに最も関係のあるものは関係ないものより正確に記憶していました。さらに、ワーキングメモリに割り当てられるリソース量は記憶する個数によって変化していました。また、このモデルはこれまで行われた研究と相容れないこともありませんでした。

この結果から、ワーキングメモリは考えられていた以上に柔軟なものであると考えられます。脳がワーキングメモリに割り当てるリソース量は一定でなく、認知パフォーマンスとリソースコストの釣り合いにより決まるということです。これが正しいとすると、報酬を与えたりタスクの重要性を理解することで、ワーキングメモリのパフォーマンスの向上が期待されるでしょう。

 

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via: ScienceDaily / translated & text by ヨッシー

 

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