月に「氷」があるという直接の証拠が見つかる 10年後にやっと確定

space 2018/08/21
太陽の光が当たらない月の極では、微量の氷が確認できる
Point
・月面に氷の形で水が存在する可能性が長らく唱えられていた
・2008年の探索で得られた赤外線反射のデータを再検証して、別の紫外線反射のデータと組み合わせることで氷の存在を確定
・この水の起源は、ローバーによるサンプル回収を行わないとわからない

アポロ計画以前から、「月に氷がある」という説は天文学者たちを魅了してきました。そして1994年、NASAの探査機クレメンタインが、ついに月の表面に氷がある可能性を示すデータを持ち帰ります。天文学者たちは再び興奮をかきたてられたものの、ある問題が生じました。その測定記録は、確定的とはいえなかったのです。

しかし今回、ハワイ大学の研究者に率いられたチームが、月の極に凍った水の「直接の証拠」を初めて発見しました。

この研究は、将来月の極に国際的な探査機を送って掘削し、氷のサンプルを持ち帰ることへの大きな推進力となると考えられています。また、もっと多くの氷が底に埋まって、分離層の下に覆われて保存されているか、あるいは土壌層に広まって凍っている可能性も示しているのです。

Direct evidence of surface exposed water ice in the lunar polar regions
http://www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1802345115

この発見が元にしているのは、2008年にNASAが月に送った探査機の月面鉱物マッピング装置(M3)が集めたデータです。これを再解析した結果、月の北極と南極にある複数のクレーターの表面に、岩に混じって氷の小さなシミを見つけました。以前の研究では、水を形成する水素と酸素のあらゆる組み合わせの可能性がほのめかされていましたが、今回の発見は、初めて月面に凍った水の存在を明らかにしたのです。

Credit: PNAS / 青と緑の点が氷の存在を示すもの

M3は月面の様々な場所で、近赤外線ビームの反射様式のデータを集めました。異なる分子は異なった反射を返すので、科学者たちは任意の表面でどのような分子が見つかったのかを正確に決定できます。チームは同時に2009年に打ち上げられた別の月周回衛星ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)のデータを、確認のために用いました。LROは紫外線の反射の仕方を元にして、物質を特定することができます。

そして異なったタイプの光の反射のパターンを組み合わせ、月の岩石質の表面にある、極のクレーターの暗い部分に混じった水の化学的痕跡を特定。研究に携わったハワイ大学の地質学者シューアイ・リー氏は、「このデータによって氷の起源を知ることはできませんが、かつて月に衝突した彗星から来た可能性がある」と述べています。

Credit: NASA / 月面探査機によって撮影された月の北極域

小惑星や彗星といった他の天体との衝突が、月の表面をデコボコにしており、その時に氷のような外来の物質が運び込まれたということが考えられます。また、月面の氷は地下の岩から出たガスから生まれたと考えることもできるでしょう。太陽から吹き付ける太陽風が、月面を襲って化学反応がおこり、凍った水ができたのかもしれません。しかし、水の起源を本当に理解するためには、月面にローバーを送って、月の凍った土と氷のサンプルを実際に持ち帰る必要があるのです。

月面での水の証拠は、月面基地建設や宇宙飛行に有用だと考えられ、今後さらなる探索が望まれます。

 

かつて「月」に生命が存在したかもしれない

 

via: Quartz/ translated & text by SENPAI

 

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