未発表のパピルスから「古代の医学」に関する記述が発見される

history_archeology 2018/08/21
Credit: Carlsberg Papyrus Collection / University of Copenhagen / 3500年前の妊娠検査の手引き
Point
・コペンハーゲン大学には発表されていない古代エジプトのパピルス文書が眠っている
・その文書の翻訳・解析が現在進んでおり、科学史における新たな発見がみられる
・多くの未解析文書があり、古代エジプトにおける自然科学を解明する手がかかりが眠っている可能性

デンマークのコペンハーゲン大学には、古代エジプトのパピルス文書がたくさん眠っています。そしてコレクションの大部分が、未だに翻訳されず、その中身が何であるのかも研究者でさえわかっていません。

「テキストの大部分は出版されていません。文書は医学、植生、天文学、占星学、そして古代エジプトで実践されたそのほかの科学に関するものです」と、コペンハーゲン大学のエジプト学者、キム・リーホルト氏は述べています。

現在研究者の国際チームが未調査の文書を翻訳中です。ある研究者によると、その中には古代エジプトに関する興味深い見解が含まれているようです。

古代エジプト人は腎臓について知っていた

この研究は、有名なアレクサンドリア図書館よりもずっと前、紀元前200年前までに存在したテブチュニス寺院図書館の医学文書に焦点を当てています。その文書の1つから、古代エジプト人が腎臓を知っていた証拠を発見しました。その文書は、腎臓について議論された医学文書の中で最も古いものです。今まで、エジプト人が腎臓を知らなかったと考えている研究者もいましたが、この文書によって結論が出ました。

Credit: Carlsberg Papyrus Collection / University of Copenhagen / 2つの異なる結果を書き、どちらが正しいかを神に尋ねていた

またこのパピルスからは、古代エジプト人の占星術の見方に関する知見を明らかにしています。今日、占星術はニセ科学と思われています。しかし、太古の見方は違いました。それは、未来を予見する重要なツールで、科学のまさに中心であると考えられていました。例えば、王様はいつ戦争に向かうのが良い日なのかを、占星術によって確認する必要があったのです。占星術は、天体の特殊な並びとなる「悪い日」に、戦争に行くことを避ける彼らなりの方法でした。

古代エジプト人の科学への貢献

この未発表の文書は、科学の歴史に独特の見解を与えています。科学の歴史と聞くと、その焦点はギリシャやローマの資料に求めがちです。しかし、さらに過去であるエジプトの資料にあたれば、医学文書の一つは3,500年前に書かれたもので、その時期、ヨーロッパ大陸に記述された文書は存在しないのです。

ドイツで見つかったパピルス文書

文書の片面には、目の病気に対する変わった治療法が記されており、もう一方の面には、古代エジプトにおける妊娠検査のようなものが記されていました。文書によると、妊娠した女性は大麦の入った袋と小麦の入った袋に排尿させられます。どっちの袋の芽が先に出たかによって、子供の性別がわかるそうです。どちらの袋の芽も出なければ、妊娠していないことを意味していました。

Credit: Mikkel Andreas Beck

この研究が明らかにしたのは、エジプトの医学文書に記された考えが、アフリカ大陸を遥かに超えて広がったということです。古代エジプトの医学文書にある多くの考えが、再び後期ギリシャやローマの文書に出てきます。そこから、さらに中東の中世医学文書に広がり、前近世にいたるまでその痕跡が見つかるのです。

エジプト人による妊娠検査は、1699年のドイツの民間伝承コレクションで言及されています。これを大局的に見ると、エジプト人の考えが、何千年も後に痕跡を残したことがわかります。

個々の貢献が大事

ドイツのライプツィヒ大学のエジプト学者ハンス=ワーナー・フィッシャー=エルファートはこう語っています。

「未発表の文書を翻訳するのは重要な仕事です。しかし、古代エジプトの自然科学に関する知識はまだ極めて断片的なので、どのような貢献も重要になってきます。今日、科学者によって理論的にわかっている多くの情報源があります。しかし、世界中には誰も詳しく調べていない様々なコレクションが未だ眠っているのです。今こそ、それを認識する時が来たのです」

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

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