「レアな重力波」の衝突で時空がもつれて「地球が崩壊する」可能性

space 2018/09/02

Point
・レアな重力波が衝突するシミュレーションから、時空を巻き込んでブラックホールが生まれることが示される
・この珍しい平板前線重力波(plane-fronted gravitational wave)を生み出すほど大きな天体は知られていない
・実際に重力波の衝突で地球が滅亡する可能性はほとんど無い

地球滅亡シナリオに、新たな仲間が加わったようです。

一般的に重力波は、円周状に外に広がっていきます。しかし平板前線重力波(plane-fronted gravitational wave)と呼ばれる珍しいタイプの重力波は、円ではなく「前方」へ押し寄せ、その結果物体を光速で動かすといわれています。

プリンストン大学とペリメータ理論物理研究所の研究者らのシミュレーションによって、この「平板」な波の衝突が、安定した宇宙に破壊的な影響を及ぼす可能性が示唆されました。この重力波は時空を乱してブラックホールを生み出し、最終的に地球を壊す可能性さえあるというのです。研究はプレプリント・サーバー“arxiv”に掲載されています。

Black Hole Formation from the Collision of Plane-Fronted Gravitational Waves
https://arxiv.org/abs/1807.11562v1

中性子星やブラックホールが衝突すると、膨大な質量が放出されます。すると周囲の時空は激しく引っ張られ、その歪んだ時空が波のように宇宙空間に広がっていきます。その波が重力波です。

しかし今回の場合、波は泡状あるいは波紋状に広がり、球体に成長します。波紋の曲線が十分に大きくなると、平行線の波の様な、かなり平板なものに見えてきます。アインシュタインの真空場理論によると、粒子が光速で動くことで、このような「平板前線」の平行な重力波が出来ます。

Credit: arxiv / 一対の平坦前線重力波が前後に衝突し、波が広がっていくシミュレーション

通常、どのような重力波の融合も問題を起こしません。特異点は通常、速やかに散逸するからです。にもかかわらず、その結果が「異常」になりうる条件とは何なのでしょうか。

それは、特異点が進化するように影響を及ぼす衝突のタイミングを考慮に入れて、曲面の重力波と平板前線重力波が出会うというレアな条件です。十分なエネルギーがあれば、特異点の周りで時空が内側にブラックホールを隠すように巻き込み、そのブラックホールが重力波のエネルギーのほとんどを吸収します。

幸運なことに、私たちが知り得る中では、それほどのエネルギーを持つものはありません。最近検出された、衝突するブラックホールからの重力波でさえ、地球に届いた時点で陽子程度の大きさしかないのです。

今回想定されたシナリオは相当なレアケース。また掲載先もプレプリント・サーバーである“arXiv”であることから、物理学コミュニティーによって非難にさらされています。しばらくは地球滅亡の心配をする必要はなさそうです。

 

科学者による「地球滅亡のシナリオ」8選

 

via:  sciencealert, Daily Mail/ translated & text by SENPAI

 

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