史上初 「光の運動量」の計測方法が発見される

quantum 2018/08/25
Credit: NASA/JPL-Caltech
Point
・光は運動量を持つことが知られているが、力が小さすぎるため今の技術で直接測定することはできなかった
・鏡にレーザーパルスを当てることで生まれる振動が発する音波を、音響センサーで感知することで間接的に光の運動量を観測
・ソーラーセイルや光ピンセットなど光の放射圧を使う技術の改良につながる

光が物質と相互作用した時、一体どれほどの圧力が発せられているのでしょうか?

科学者たちを150年もの間悩ませて来たこの問題ですが、ついに解決法が示されたようです。スロベニアやブラジルの研究チームが、物質に光が及ぼす効果を測定する方法を発見、“Nature Communications”で論文が掲載されました。

Isolated detection of elastic waves driven by the momentum of light
https://www.nature.com/articles/s41467-018-05706-3

光は質量を持たないものの運動量は持っており、特殊相対性理論の枠組みで定義されています。この運動量は光の放射圧ですが、それはとてつもなく小さく、この問題を解決できるほど感度の高い装置は存在しません。そのため、直接測定するのは極めて困難と考えられていました。

今回の研究で用いられた装置も、光子の運動力を「直接」観測したわけではありません。その代わり、観測装置を鏡の周りに組みこむことで、光の運動量が鏡に及ぼす影響を、そこから伝わる柔軟な波として「聴いて」検出するというアプローチをとったのです。

装置には外部からの干渉から実験を守るために防熱シールドが施され、感度の高い音響センサーが取り付けられています。レーザーパルスを鏡に照射すると、鏡の表面に柔軟な波が起こり、それを音響センサーで感知することで、光子の運動量から発揮された放射圧を計算できるというわけです。

この技術は今後、様々な技術に応用できると考えられています。例えば、放射圧を正確に計算できることで、風の代わりに放射圧を帆に受けて、燃料を使わずに推進力を得る「ソーラーセイル技術」の改良に貢献することもできるでしょう。また、単独の原子スケールで小さな粒子を捕まえ、操作する方法である、「光ピンセット」の改良にもつながると考えられています。

 

情報のスピードが光の速さを超えた。量子力学が示す可能性

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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