「ウサギとカメ」の童話は本当だった。 実は生涯でみるとカメのほうが足が速いという研究結果

animals_plants 2018/09/01
Credit: Youtube
Point
・生涯でみると、足は速くても長く休息する動物より、足は遅くても着実に進む動物のほうが速いと判明
・この法則は動物だけでなく、航空機などの異なる分野の事物にも当てはまる
・この研究は、「全ての動物の移動速度は体重に比例する」という「コンストラクタル法則」をもとに生まれた

誰もがよく知る「ウサギとカメ」のお話。「足は速いけれど注意散漫でサボり癖のある」ウサギと、「足は遅くても地道にコツコツと歩みを進める」カメの競走を描いた象徴的な寓話です。読書はカメがウサギに勝利するラストの場面を驚きをもって受け止め、「遅くとも着実な者が競争に勝つ/急がば回れ」という教訓に触れることが想定されています。ところがこのラスト、どうやら現実離れした寓話ではなく、現実でも真実のようなのです。

デューク大学のエイドリアン・べジャン教授が行った研究で、足は遅くても着実に進む動物の方が、足は速くても長く休息する動物よりも、生涯という長いスパンで見た時に速度が速いことが判明しました。

The fastest animals and vehicles are neither the biggest nor the fastest over lifetime
https://www.nature.com/articles/s41598-018-30303-1

べジャン教授は、「私たちは、動物を全く異なるライフスタイルを持つ二つのグループに分けて考える。一つは、規則的に餌を食べ、毎日睡眠を摂る動物たち。もう片方は、切れ切れの時間に一気に食事を摂り、長時間寝だめをする動物たちだ」と語ります。作者のイソップも、動物の生活リズムの違いに着目し、この象徴的な寓話を書いたのでしょう。

べジャン教授はサイエンティフィック・レポート誌の中で、陸上、空中、水中で生きる動物の移動速度を、移動距離をそれぞれの寿命で平均するという方法で分析しています。その結果、世界で最も速く移動する動物のいくつかは、なんと一生という長い観点で見ると、最も移動速度の遅い動物であることがわかったのです。

私たちの直感に反するこうした結果は、現代の航空産業などの他の分野にも当てはまることのようです。べジャン教授は、これまで歴史に登場してきた数百機の航空機のモデルのデータを用いて、航空機設計においては機体のサイズと速度を両立して向上することが一般的傾向であるのに、ジェット戦闘機はその例外であると解きます。動物界と同じで、ジェット戦闘機は瞬間的には他の航空機よりも速いかもしれませんが、長時間地上に留まります。実際に飛行している時間を寿命で平均すると、ジェット戦闘機は輸送や偵察を目的に設計された航空機よりもずっとスピードが遅かったというのですから、驚きですね。

この研究は、べジャン教授が自身の先行論文で提唱した「コンストラクタル法則」から生まれました。「コンストラクタル法則」では、すべての動物の移動速度は体重に比例し、同様の比率を保つ、とされています。たとえば、脊椎動物が走る際に一歩を前へ進める頻度(ピッチ)はその体重に比例しており、魚が水中を泳ぐ時や鳥が空中を飛ぶ時のピッチについても同じことが言えるのです。べジャン教授は、進化が今後進んでいく方向性を予測したり、航空機などの乗り物の設計を考えたりするのに、これらのモデルを活用できると考えています。

一見するとチーターなどの「例外」もいるのでは、と思えるかもしれません。ですが生涯という長い観点で考えれば、これら「例外」たちも、ゆっくりノシノシ歩く動物たちとスピードには大差ないと、べジャン教授は語っています。アメリカ国立科学財団が支援するこの研究、今後の進展が楽しみですね。

 

via: euerekalert / translated & text by まりえってぃ

 

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