異常なペースで星を生み出す「モンスター銀河」の詳細を観測 世界で初めて成功

space 2018/08/30
Credit: 国立天文台 / モンスター銀河“COSMOS-AzTEC-1”のイメージ画像
Point
・124億光年先に、星を猛烈なスピードで生み出しているモンスター銀河COSMOS-AzTEC-1がある
・ALMAによる高解像度の分析により、その分子ガスの分布がわかり、大量に星が生まれる仕組みが判明
・COSMOS-AzTEC-1ではガス雲が不安定で圧力が弱いため、外に向かう力が重力と釣り合わず、重力によって中央部で多くの星が生まれる

日本の国立天文台を含む国際研究チームが、124億光年先にある「モンスター銀河」と呼ばれる猛烈な勢いで星を生み出す銀河の詳細な観測に、世界で初めて成功しました。南米チリのアルマ展望台を使うことによって、以前よりも10倍高い角分解能を達成し、今まで全く不明だったその構造を明らかにすることができたのです。研究は29日付でNatureに掲載されています。

The gravitationally unstable gas disk of a starburst galaxy 12 billion years ago
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0443-1

COSMOS-AzTEC-1、通称「モンスター銀河」と呼ばれる銀河は、猛烈な勢いで星を生み出しており、現在の宇宙の天の川銀河のような大質量銀河の先祖と考えられています。この銀河の星の誕生率は、天の川銀河の1000倍という凄まじいものです。天文学者たちは以前から、「モンスター銀河が驚くほどのスピードで星を形成できるのはなぜなのか」と不思議に思っていたといいます。

詳細解明にあたり、まずこの星の苗床の環境特性を知らなければなりません。その重要な一歩が、分子雲の詳細な地図の作成です。

研究者らはCOSMOS-AzTEC-1に星の原料を豊富に存在することを発見しましたが、宇宙ガスの特性を理解するのは難しいことでした。しかし、ALMA望遠鏡を使った高解像度で感度の高い観察によって、ガスの分布と動きのマップを得ることに成功。このモンスター銀河における分子ガスの最も解像度の高い地図を初めて獲得することができました。

そして中心から数千光年離れたところに、2つの大きな雲があることを発見しました。多くのスターバースト銀河では、星が活発に形成されるのは中央部分です。今回中央から離れた所で雲が見つかったことは、研究者たちを大変驚かせたといいます。

これまで、この銀河が大量のガスを蓄積できた方法、そして確保したガスを瞬く間に星へと変えた方法は、全くわかっていませんでした。しかし今回の研究によって、その答えが得られたのです。

通常の銀河の場合、重力の内向きの力と圧力の外向きの力は釣り合っています。しかし重力が圧力を圧倒するとガス雲が崩壊し、星が速いペースで生まれます。その後、星や超新星爆発によってガスは吹き飛ばされると、外への圧力が増します。その結果、重力と圧力はバランス状態に達し、星の形成スピードは穏やかになります。このようにして、銀河内での星の形成は自ら調節されているのです。

しかし、COSMOS-AzTEC-1のガス雲は非常に不安定な状態でした。COSMOS-AzTEC-1では圧力は重力よりもずっと弱く、バランスがとれません。そのために、この銀河では星の誕生が急騰し、手のつけられないモンスター銀河になるのです。チームはCOSMOS-AzTEC-1がガスを完全に使い果たすのに1億年かかると見積もっており、これは通常の銀河の10倍のスピードです。

なぜCOSMOS-AzTEC-1のガスがこれほど不安定なのかははっきりしていませんが、「銀河の融合」がその答えかもしれません。銀河の衝突は、小さな領域に効率的にガスを集め、激しく星を生み出すきっかけを作る可能性があります。論文の筆頭著者である但木謙一氏は、「現時点では、この銀河が融合したという証拠はありません。しかし、他の似たような銀河をALMAで調べることで、銀河の融合とモンスター銀河の関係を明らかにしたいと考えています」と話しています。

 

「暗黒物質がない銀河」、実はあるんじゃないかという研究

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

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