人間でも音だけで周囲の環境を察知する「エコーロケーション」を使える人々がいた

animals_plants 2018/09/03
Point
・コウモリが音で環境を知るように、盲人の中にもエコーロケーションを使って周りの物体を感知できる人たちがいる
・エコーロケーションの「達人」8人に協力してもらい、その能力について調査が行われる。
・能力は想定よりも高く、人間では聴くことが不可能とされる音をも感じとっていた

音の反響により周囲の環境を察知する「エコーロケーション (反響定位) 」。「音で視る」といった表現がされることもあります。このたびイギリスとオランダ、アメリカの研究チームが、盲人のエコーロケーションの精度が、想定していたよりも高かったことを明らかにしました。

Human echolocators adjust loudness and number of clicks for detection of reflectors at various azimuth angleshttp://rspb.royalsocietypublishing.org/content/285/1873/20172735

コウモリが飛行進路を決める際や、獲物を捉えるためにエコーロケーションを使っているのは有名ですが、人間の盲人の中にもエコーロケーションを使う人がいます。口から鋭い音を出してその反響を聴くのです。この技術は、部屋のどこにイスがあるのかを認識したり、ドア枠の低い段にぶつかるのを避ける時などに便利です。

しかし研究者いわく、人間が使うエコーロケーションの実態は、実際のところほとんど明らかになっていません。そこで、そういった「人のエコーロケーション」について詳しく調べるために、研究チームは8人の盲人である「エコーロケーションの達人」の協力を得ました。

実験は、実験用の道具以外何もない防音の部屋で、「棒に取り付けられた板」の場所を参加者に当ててもらうといった方法により実施。参加者の耳のそばには「マイク」が取り付けられ、本人が発したり跳ね返って戻ってきた音が録音されました。実験中、参加者には頭を動かさないようにしてもらい (ふだん彼らは、歩いている時により反響を捕らえやすいように頭を振る) 、部屋の中の4箇所の内1箇所に立てられた「板」の場所の特定を試みてもらいました

参加者が最もうまく位置を特定できたのは、それが彼らの「真正面」にある時で、8人の参加者全員が常に場所を正確に言い当てています。また、「45°〜90°の角度」に板が置かれた場合も、うまく場所を特定することが出来ました。

問題だったのは、「板」が「後方」に置かれた場合です。「135°」の角度に置かれたとき、その位置を特定できたのは80%の確率でした。そして「板」が「真後ろ」に置かれると、その確率は50%にまで減少しています。

このように、「対象物の場所」によって精度にバラつきがみられたエコーロケーションですが、おそらく最も興味深い発見は、参加者が人間には聴くことが不可能であるとされる「弱い反響音」を聴いていたといった事実です。これは、彼らの脳が「新たな感覚入力の形態」の使用に適応していることを示しています。

 

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via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

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