原始ブラックホールはどのようにつくられたのか? 新説が発表される

space 2018/08/31

Point
・暗黒物質の正体や、超大質量ブラックホールの成り立ちは、原始ブラックホールによって解明される可能性がある
・原始ブラックホールが、原始密度ゆらぎの共振による増幅によって形成されたとする説を宇宙科学者が提唱
・説はモデル計算によって、ビックバンの直後に共振したピークが現れたことで導かれた。

宇宙の謎の中でも、暗黒物質の正体や超大質量ブラックホールの成り立ちは特に関心の高いテーマです。ひょっとするとこの疑問の答えが、「原始ブラックホール」にあるかもしれません。

オランダのライデン大学と中国の宇宙科学者たちが、仮説上の天体がビックバン直後に生み出される新たな方法を見つけました。研究成果は、“Physical Review Letters”で発表されています。

Primordial Black Holes from Sound Speed Resonance during Inflation
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.121.081306

宇宙を研究する中で、科学者はいくつかの難問に直面します。例えば、銀河を周る星たちが、まるで観測された質量の5倍も重たいものであるかのように動くことです。この現象を生み出している暗黒物質は、一体何でできているのでしょうか?難問はもう一つあります。銀河はその中心に巨大なブラックホールを持っており、その重さは太陽の数百万倍です。しかし若い銀河の中では、崩壊した星がこれほど大きなブラックホールに育つための十分な時間はありません。では、いわゆる超大質量ブラックホールはどのようにしてできたのでしょうか?

宇宙科学者たちが、これら2つの謎の答えになる一つの理論的な解決法を提唱しました。ビッグバンの直後に湧き出た原始ブラックホールは、小さくあり続けるか、あるいは急速に質量を増やすか、いずれかの能力を持ちます。前者の場合、それらは暗黒物質の候補となります。後者の場合、超大質量ブラックホールの種となりえます。

Credit: Leiden Institute of Physics / 原始ブラックホールによる暗黒物質の割合。太陽質量に対する個別の質量比率を表す。影付きの領域は、天文学的観測により除かれている。共振効果は、狭いピーク(赤と青の点線)により明らかであり、原始ブラックホールの質量の分布を示している。ピークが狭いことから、原始ブラックホールは同じ質量を持つことが予想される。私たちの宇宙に当てはめると、ビッグバンの詳細から現実のピークはたった1つ。例えば、青いピークは太陽の10倍から100倍の質量のブラックホールと一致しており、この範囲は、LIGO/VIRGOによる重力波の実験で最近得られたものである。

ビッグバンの後、宇宙はランダムな量子変動により生み出された、小さな密度の高いゆらぎを含んでいます。それらは星や銀河を形成するのに十分な大きさを持っていますが、それ自身で原始ブラックホールにまで育つには小さすぎます。研究者たちは、ある種のゆらぎを選択的に増強することで、原始ブラックホールを生み出せる新たな共振効果を発見しました。これにより、すべての原始ブラックホールがをおおよそ同じ質量にならなければならないという予想が導かれます。図1の狭いピークは、共振の結果生み出される、可能な質量の範囲を示しています。

しかし研究者らは、今回行った計算は最小限の単純なもので、実際の仕組はもっと複雑である可能性があると話しています。今後の研究で、暗黒物質や超大質量ブラックホールの正体に近づくことが期待されます。

 

「別の宇宙」のブラックホールの痕跡を発見したという研究

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

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