・モロッコの「木登りヤギ」は、一度飲み込んだ「アルガンの種」をそこら中に吐き出すことで、森林の維持に貢献していた
・一度ヤギが飲み込むことで種が遠くに運ばれる可能性があり、アルガンツリーの生存確率が上昇する
「木登りヤギ」をご存じでしょうか?
モロッコの砂漠地帯で目撃することができるこの異様な光景。食料の木の実などを食べるためにこのような行動をしている彼らですが、研究により、その吐き出す「ツバ」が森林の維持に貢献しているといった不思議な事実が判明しました。
https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/fee.1488
木登りヤギは、植物の乏しい秋には30フィート(約9メートル)の高さにも登ります。秋にアルガンツリーの上で食事を探している期間は、エサ探し期間全体の74%もの割合を占めており、いかに彼らが木の上を「ホーム」としているかがわかります。
そして彼らは食事の際にアルガンの大きな「種」を飲み込み、ルーメン(rumen)と呼ばれる「第一の胃」(ヤギには4つの胃がある)に貯蔵。そして「反芻」の際にその種は口に戻され、ツバとともに吐き出されます。
つまり、このプロセスを通して「木登りヤギ」はアルガンの種をそこら中に散布しており、アルガンツリーの生育に一役買っているというのです。そして、このヤギの「運搬行為」には、アルガンツリーにとって大きなメリットがあります。
つまり、その種は「親木」から遠く離れ、環境が異なる場所に運ばれる可能性があるため、その生存確率が大幅に上昇するのです。このように、「木登りヤギ」と「アルガンツリー」は持ちつ持たれつ、ギブ・アンド・テイクの関係で成り立っていることが分かります。
アルガンツリーを喰らい尽くし、景観を損ねる「木登りヤギ」は、悪の権化のように扱われることもありますが、実際にはその維持に大きく貢献しているのです。
また、アルガンの種から採取される「アルガンオイル」は、その美容効果から高級化粧品においても使用されています。多くのセレブが愛用しているであろう、そんなアルガンオイルが「ヤギが吐き出した種」からできていることは知らないほうがいい事実なのかもしれません。
via: naturalnews / translated & text by なかしー