「鶏が先か卵が先か」問題、量子学的には「どちらも先」だった

quantum 2018/09/06

Point
・物事が順番に起きるということは、感覚的には明確
・量子スイッチを使った実験では、光子は2つの体験の順番を重ね合わせて持てることがわかる
・量子スイッチの技術は量子通信や量子コンピュータで役に立つ可能性

「鶏が先か卵が先か」という有名な問い。どうやら「量子スイッチ」によると、「どちらも先」というとんでもない回答になるようです。

“Physical Review Letters”で発表された論文によると、新たな量子装置は、2つのイベントの順番をごちゃまぜにして、どちらの並びも同時に可能にします。

Indefinite Causal Order in a Quantum Switch
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.121.090503

私たちの日常では、「出来事には明確な順序がある」ということが当たり前になっています。例えば、今朝、顔を洗う前に歯を磨いたかもしれませんし、その逆かもしれません。しかし、量子の領域ではそれが同時に正しいということがあり得るのです。

Credit:aps journal / 量子スイッチ実験の回路図

この装置は「量子スイッチ」として知られており、光の粒子を「A」あるいは「B」と名付け、ABの光の形を変える操作を行います。これらの光子は、A及びBに通じる2つの「通路」を通ります。この通路を通ると、AがBの前に起こるか、BがAの前に起こります。どちらの通路を光子が通ったかは、その光の波の向きである偏光で決定されます。水平の偏光を持つ光子は、Aを先に経験します。逆に、垂直の偏光を持つ光子はBを先に経験します。しかし量子の「重ね合わせ」の性質によって、光子は水平と垂直の両方の性質を両方一度に持つことが出来ます。したがって今回の場合、光は「Bの後にA」、「Aの後にB」の両方を経験するというわけです。

他の研究者たちも、以前似たような量子スイッチを組み立てていますが、新しい装置のほうが曖昧さを廃しています。初期の量子スイッチでは、もしAの後にBが来た場合、Bの後にAが来たときとは若干異なる通路を通っていました。この違いは、2つの独立した操作の同時性について疑問が残り、明瞭な結果とはいえませんでした。一方今回のスイッチでは、どちらの操作が先に来ても光は同じ点を通過します。

量子スイッチの最も鍵となるのは、あらゆる情報がごちゃまぜになったチャンネルを通して通信する能力です。例えば、あなたの声が歪んで聞こえる電話線を通じて、友達と連絡をとる場面を思い浮かべてください。もし他の雑音のある電話線を使って判別できない信書を送っても、あなたのメッセージは依然ノイズ以外の何物でもないでしょう。しかし量子スイッチを使えば、事態を変えることができます。

研究者たちが示したことによると、光子が2つの雑音の多いチャンネルを重ね合わせ状態で通過すると、チャンネルBを通過後にチャンネルAを通過すると同時に、チャンネルAを通過後にチャンネルBを通過することになり、そこから情報を取り出すことができるのです。

 

量子スイッチは将来、量子通信や量子コンピュータの技術発展に役立つと考えられています。まるで魔法のような量子力学の世界ですが、実は私たちの日常生活でもしっかりと役立っているのです。

 

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via: Science News/ translated & text by SENPAI

 

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