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「人助け」は脳に良いことが判明。「情けは人の為ならず」は本当だった

2021.01.28 Thursday

2018.09.07 Friday

Point
・支援活動は脳に好影響を与え、身近な人への支援はより効果が得られることが分かった
・身近な人を助けることで不安や恐怖の減少も確認
・不特定多数より身近な人を助けたほうが不安や恐怖が減少する

一日一善、していますか?

Biobehavioral Medicineに掲載された研究によると、支援活動は脳に好影響を与え、特定の個人に対する支援はより高い効果が得られることが判明しました。

Neural Correlates of Giving Social Support: Differences between Giving Targeted versus Untargeted Support
https://journals.lww.com/psychosomaticmedicine/Abstract/publishahead/Neural_Correlates_of_Giving_Social_Support

過去の研究で、支援活動がストレスや報酬に関する脳領域に好影響を与えることがわかっていましたが、支援の種類による影響の違いは不明でした。

研究チームは、特定の個人を助ける支援とチャリティなどの不特定多数の支援のそれぞれで、脳にどのような違いが生じるか調査しました。調査では2つの実験を行い、それぞれMRIスキャンで脳活動を調べました。

1つ目の実験では、45名の被験者に支援活動を行ってもらいました。被験者はその活動によって報酬を得て、そのお金を身近な人や不特定多数の人々にあげるか、もしくは自身のものとすることができます。

実験の結果、身近な人を支援した被験者は、社会的な関係性や支援の効果をより感じることができました。また、被験者全体に脳の腹側線条体やSeptal area(SA)と呼ばれる部位で、活発な活動が見られました。腹側線条体は運動機能や意思決定などに関係し、SAは母性的な振る舞いに関係すると言われています。

特筆すべきは、身近な人を助けた被験者のSAが活発になったとき、同時に扁桃体の活動が低下していたことです。扁桃体は不安や恐怖を感じると活発になる部位。すなわち、身近な人を助けることで不安や恐怖を感じにくくなるということを示しているのです。

2つ目の実験では、382人の被験者に自らが行った支援について自己報告してもらい、その後に感情テストを行いながら被験者の脳活動をスキャンしました。この実験でも、特定の個人に対して支援を行った被験者は扁桃体の活動が低いことが明らかになりました。

また2つの実験から、不特定多数の人に行う支援は扁桃体の活動に関係性がないこともわかりました。同じ人助けでも、身近な人の頼みを聞くのと募金活動をするのとでは、前者のほうが不安や恐怖を感じにくくなるようです。

今回の研究から、特定の個人への支援は支援活動の中でも特に良い影響を及ばすことがわかりました。また、支援全体においてSAの活発な活動が見られます。これは、私たちが人助けするのはそれ自体が気分を良くするからという”Warm glow”理論を裏付けます。

まさに、「情けは人の為ならず」ということわざ通りに、人に親切にしておくことは自分のためになるということです。

ただの瞑想じゃない。思いやりながら瞑想する「慈悲瞑想」の驚くべき効果とは

via: Nerdiest / translated & text by ヨッシー

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