量子ゲートのテレポーテーションと測定を実現 リアルタイムで世界初

quantum 2018/09/10

Point
・量子コンピュータの信頼度を上げるには、量子演算を行う量子ゲートの共有化が必要
・今回、量子ゲートをリアルタイムでテレポーテーションし、測定することに成功
・これによりモジュール化による量子コンピュータの大規模化の道が開ける

およそ20年前に、2人のコンピュータ科学者が量子コンピューターの信頼性を上げるため、量子演算のテレポート技術を提唱しました。

そして今回、イェール大学の研究チームがそのアイディアを実現し、技術の大規模化を実現する現実的なアプローチを発表。量子演算を実現する量子ゲートのテレポーテーションを行い、その効果を測定するための実用的な方法を開発しました。

この偉業は以前にも行われていましたが、リアルタイムで成功したのは初めてです。これにより、モジュール化による信頼性のおける量子コンピューターの開発につながる道が切り開かれたことになります。

Deterministic teleportation of a quantum gate between two logical qubits
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0470-y

従来のコンピューターが「0か1の値を持つ2つのビット状態」を利用して計算するのとは違い、量子コンピュータは私たちの理解を超えた奇妙な状態を持つ「キュービット(量子ビット)」で演算を行います。これによって、量子コンピューターの圧倒的な計算速度は実現され得るのです。

従来のコンピュータでは、ビットを論理ゲートと呼ばれる演算を使って相互作用させます。それは世界一小さな闘技場のようなもので、2つのビットが中にはいると1つだけが残ります。ゲートには複数の種類があり、各個のルールに従って勝者を決めます。ゲートを通過するこれらのビットによって、従来のコンピューターで考え得るあらゆる種類の計算の基礎が形作られているのです。

しかしキュービットは、アルゴリズムの基礎となるもう一つのユニットを表せます。0と1だけでなく、その2つが混ざった特別な重ね合わせ状態も提示できるのです。量子バージョンの論理ゲートとの接続において、キュービットは従来のビットでは不可能なことができます。しかし、ここで一つ問題があります。0と1が不確定な状態は、測定された系の一部になった時に、0か1へと確定してしまいます。さらに困ったことに、キュービットが不確定な状態から確定した状態へ崩壊するのにそれほど時間がかからないため、もしこの繊細なコンピュータがノイズの多い環境から十分に隔離されていなければ、量子コンピューターは高価な文鎮でしかなくなってしまいます。

現在、量子コンピュータエンジニアたちは、70キュービッツを計算できる装置に湧き上がっていますが、もし数千ものキュービッツが同時に安定できなければ、その蓄積は数百でとどまることになります。その規模を達成するためには、科学者にはさらなる細工が必要となります。一つの選択肢は、できるだけ技術をモジュール化することで、小さな量子システムを組み合わせて大きくし、エラーを補完することです。そのためには、キュービットの特別な演算を施す量子ゲートも共有化する必要があります。

量子ゲートのような情報のトランスポーテーションと聞くと、さもSF的に聞こえます。しかし現実的には、2つの量子もつれを起こした粒子の一方が観測されると、もう一方がどんなに離れていても即座にその相対状態へと崩壊することをシンプルに指すものです。技術的には実験的にすでに示されていますが、今回初めて、リアルタイムでその過程が実行され計測されました。これは、実用的なコンピューターの部品となるには極めて重要です。

「私たちの研究は、従来の情報伝達がリアルタイムで起こっている中で、この手順が実践できた初めてのもので、これにより、望む演算を毎回実行する決定論的な演算が可能となります」と、筆頭著者のケビン・チョウ氏は言います。

今回研究者たちが使用したのは、最先端の装置内のサファイアチップ中のキュービットです。これを使い、制御NOTゲートと呼ばれる量子演算のテレポーテーションを行いました。重要なのは、エラーの訂正可能なコーディングを適用することで79%の信頼性を達成したことです。

今回の成功により、規模の大きな量子コンピューターを実現するために必要なモジュールの開発にとって、着実な一歩が刻まれたことになります。

 

「タイムマシンは実現可能だ」物理学者が描く数理モデルとは

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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