ゼブラフィッシュの卵には他の魚の精子をブロックする「門番」的なタンパク質があると判明

animals_plants 2018/09/11

Point
・ゼブラフィッシュの卵の外側に存在するタンパク質の一種が、他の魚の精子の侵入を防ぐ「バウンサー」として機能することが判明
・ヒトを含む脊椎動物にも「バウンサー」に類似した遺伝子が見られる
・「バウンサー」の仕組みを応用すれば、異種間の交配も可能になる

受精は生殖の基本的要素の一つですが、実はその分子レベルでのメカニズムはあまり理解されていません。多くの研究者が長年にわたり研究を続けてきましたが、卵子と精子が結びついて受精卵をつくる仕組みは、未だ多くの謎にあふれています。

9月7日に“Science”誌で掲載された論文によると、ウィーンの研究所が、ゼブラフィッシュの卵の皮膜に付着したあるタンパク質が、ゼブラフィッシュ以外の魚の精子の侵入を防ぐ「バウンサー」として機能していることを発見しました。

The Ly6/uPAR protein Bouncer is necessary and sufficient for species-specific fertilization
http://science.sciencemag.org/content/361/6406/1029

ゼブラフィッシュのような水中で産卵する魚にとって、他の魚の精子による受精を防ぐために卵を守ることは重要です。水中に産まれた卵は、雄が水中に射精する精子によって受精します。研究者チームはこのプロセス中に、あるメカニズムを発見しました。それは、ゼブラフィッシュが卵の外皮に、他の魚の精子の侵入を防ぐ「門番」として機能するタンパク質を生産しているというメカニズムです。

この「卵母細胞に発現するLy6/uPARタンパク質」は、ゼブラフィッシュのゲノムの研究過程で発見されたものです。研究チームは、この遺伝子が見つかったゲノム中の場所を手掛かりに、これが生殖に関わる遺伝子であるのではないかと予測。今回の実験は、この予測をもとに計画・実施されました。

Credit:ncyclopedia of Life/ Bioimages / ゼブラフィッシュの卵

実験には遺伝子編集技術「CRISPR」が用いられ、メダカが持つタンパク質と類似した相同体を作り出すゼブラフィッシュの検体が設計されました。メダカの精子とゼブラフィッシュの精子をそれぞれ、この検体に受精させる試験を行ったところ、メダカの精子は検体の卵に受精しましたが、ゼブラフィッシュの精子はこのタンパク質相同体に侵入を阻まれて検体に受精しませんでした。これにより、このタンパク質が「門番」、つまり彼らが呼ぶところの「バウンサー(=警備員)」としての役割を持つことが確実になったのです。

四肢動物で「バウンサー」に近い相同体は「SPACA4」ですが、これは体内受精を行う脊椎動物の雄の生殖細胞系列のみに見られる遺伝子です。このことはつまり、魚に関する今回の新発見がヒトの生態にも関連づけられ得ることを意味しています。

この研究結果は、私たちの種限定の受精に関する理解を深めてくれるという点でとても重要です。研究チームは、卵と精子が結びつく因子をさらに明らかにするため、「バウンサー」の研究を続ける予定です。

 

「バウンサー」の仕組みを応用すれば、2億年以上も前に分岐した異種である、ゼブラフィッシュとメダカの交配も可能になるのだとか。生命神秘への謎は尽きませんね。

 

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via: phys.org / translated & text by まりえってぃ

 

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