「冥王星はやっぱり惑星」だとする新しい説が浮上 「以前の惑星定義は誤りだった」

space 2018/09/10
Credit: NASA / いつでも渦中な冥王星
Point
・「冥王星は惑星ではない」という説は誤りである可能性が、文献調査を通じて明らかになった
・国際天文学会はかつて、惑星を「明確な軌道を持つ」と定義づけたが、「惑星」という用語をこの意味で用いている文献は皆無に等しい
・軌道などの変化する力ではなく、「球体になるほどの強い重力を持っているか」を基準にして惑星であるかどうかを判断すべきである

冥王星を公式に惑星と呼ぶべきかどうかを巡っては、常に激しい論争がなされています。2006年、国際天文学連合(IAU)が行った「惑星は自分の軌道を占有し、他天体を掃き散らしていること」、つまり「明確な軌道を持つ」という定義づけにより、冥王星は惑星から除外されました。しかし未だに、腑に落ちない人々が数多くいるのも確かです。

そして今、ある研究チームが「冥王星が惑星としての地位を失った理由は無効だ」と主張しています。

研究を行ったのは、セントラルフロリダ大学の天文学者フィリップ・メッツガー氏が率いる研究チーム。科学文献を過去200年に遡って見直した結果、「明確な軌道を持つこと」を惑星の要件として用いている文献は、1802年から現在までにたったの一つしか見つからず、しかも、この唯一の文献はこれまでに誤りだと証明された理由を根拠にしていることが明らかになりました。

Credit: University of Central Florida / フィリップ・メッツガー氏

IAUは2006年、惑星の定義を「『明確な』軌道を持つこと」であると定めました。冥王星は、隣にある海王星の重力の影響を受け、カイパーベルトにある凍ったガスや天体と軌道を共有するため、惑星の定義から外れてしまったのです。これに対し、このIAUの基準は研究文献で裏付けられていない、とメッツガー氏らは主張しています。

「IAUの定義は、太陽系で地球の次に複雑、かつ興味深い惑星である冥王星を除け者にしようとしています。私たちは100を優に上回る数の、『惑星』という用語をIAUの定義に反する意味で用いた文献を見つけましたが、これらを記した研究者たちは便宜上の必要があってこの用語を用いたに過ぎません」とメッツガー氏は主張します。このことは、天文学者たちがガリレオの時代から、土星の周囲を回るタイタンや、木星の周囲を回るエウロパなどの衛星を、「慣習的に」惑星と呼んできたことからも明らかです。

メッツガー氏によると、IAUの「惑星」の定義はかなり大雑把なものだとのこと。「明確な軌道を持つ」ということが具体的に何を意味するのかが説明されていないのです。文字通りに受け取れば、惑星は存在しないことになります。なぜなら「明確な」軌道を持つ惑星など無いからです。

今回の文献調査で、1950年初頭に行われた惑星とその他の小惑星を区別する試みが明らかになりました。この時代に、天体が形成された方法に基づいて惑星と小惑星を分類した論文を、ジェラルド・カイパー博士が発表しています。ところがメッツガー氏は、カイパー博士が提唱した理由でさえ、天体が惑星であるかどうかを決定する因子ではないと考えています。「IAUが『巧妙に作り出した』定義は誤りであることが示されました。つまり、冥王星にこの定義を当てはめて、惑星としての地位から外すことは間違いだということになります」と、メッツガー氏らは主張します。

研究チームは、惑星の定義は、軌道などの動的な特性ではなく、その天体に本来備わっている固有の特性に基づいたものでなければならない、という結論に至りました。「動力は恒常的なものではなく、常に変化します。つまり、動的な特性は天体を本質的に説明するものではなく、天体がその時代にどう動いているかを説明しているに過ぎないのです」と、メッツガー氏は語っています。同氏は、軌道などのダイナミックな力で判断する代わりに、球体になるほどの強い重力を持っているかどうかを基準にして、天体を分類することを勧めています。

この新しい定義は、決して独断的なものではありません。重力は天体の発達における重要な指標の一つであることがわかったのです。重力が生まれる時、明らかに天体の地質活動が活発になります。

たとえば、冥王星には、地下の海、多層大気、有機化合物が存在するだけでなく、古代湖や複数の衛星がかつて存在していた証拠が見つかっています。「冥王星は、火星よりずっとダイナミックで生き生きしています。冥王星以上に複雑な地質を持つ惑星は地球だけです」と、メッツガー氏は目を輝かせて語っています。

冥王星が惑星であるかどうかを巡る論争は尽きることがありませんが、今回の発見は一つの大きな手がかりになりそうです。特にアメリカでは、冥王星を発見したのはアメリカ人だったことから、「アメリカ人の誇り」とされてきました。また世界各国でも「冥王星を惑星に戻して欲しい」という声は多く、メッツガー氏らの今後の研究が期待されます。

 

冥王星に「氷の砂丘」を発見 地球と同じような特徴も

 

via: phys.org / translated & text by まりえってぃ

 

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