2022年に現れると予言された新星、「誤植」が原因で現れないことが判明

space 2018/09/12
Photo credit: Smithsonian Institution on Visual hunt / No known copyright restrictions
Point
・2022年、連星の衝突により新星が現れることが予言されていた
・予言の計算に使われた、他の論文のデータに誤植が見つかり、予言が間違いであることがわかる
・時期は不明であるが、連星が衝突に向かっていることは事実

2017年のはじめ、科学者がある予言を行いました。その予言とは、「4年後にある2つの星が衝突する」というものです。これは裸眼でも観測できるといわれ、ニュースは当時爆発的に広がりました。

地球から1800光年先、はくちょう座に位置する連星系KIC 9832227。当時科学者たちは、この2つの連星が衝突し、それにより新星が現れると予言していました。2つの星が融合すると、真っ赤な新星の輝きを放つのです。明るさは一万倍にもなり、地球からも一定期間見ることができるといわれていました。

しかし今回、この予言は否定されてしまいました。

ダンディエゴ州立大学の天文学者クェンティン・ソシア氏の率いる研究チームが、予言をもたらした研究の数式を精査。すると、異なる結果が出たのです。

そして、予言したラリー・モルナル氏もその結果に賛同しているとのこと。「良い科学というのは検証可能な予言を生み出します。私たちのプロジェクトを批判しようとする論文は過去にも少しはありましたが、反論が可能なものでした。しかし、今回の批判は違いました。私も良い点を突いていると思っています。今回の例は、どのように科学が自己修正するのかをよく示しています」

Photo credit: Portland Center Stage at The Armory on Visual Hunt / CC BY-NC

問題が見つかったのは、モルナルと研究チームが予測に使用したデータでした。2つの星はきつく互いを軌道上に閉じ込め、その軌道はちょうど11時間で一周します。そして、あまりに近づいているために、大気の一部を共有していて接触連星と呼ばれる状態になっています。また、食連星でもあり、地球上から見るとちょうどお互いが食の位置をとるような並びをしています。予言の計算は、光が最小化するタイミング、つまり食の最中に連星系が最も暗くなる点に関する、すべての入手可能な情報源を元にして行われました。

モルナル氏らは、2013年から2016年はカルヴァン天文台のデータ、2007年から2013年までのデータは他の天文台のデータを使いました。しかし、2007年から以前のデータには広い空白があり、1999年のNorthern Sky Variability Surveyのデータまでさかのぼります。

Credit: NASA, ESA and H.E. Bond (STScI)

今回予言の誤りを指摘したソシア氏らが発見したのは、NASAのAmes Vulcan Projectの一部から得られた2003年からの未公開のデータでした。そして、食がモルナルの融合仮説による予測よりも30分遅くなることがわかったのです。そして改めて他の数字を計算すると、2007年以降のタイミングについては確認が取れました。しかし、1999年のデータについては間違っていることが分かりました。予想よりも1時間遅かったのです。

その原因は、「誤植」でした。1999年のデータを最初に記述した2004年に出版された論文に、食のタイミングが12時間もずれる結果となる誤植があったのです。そしてこの誤りが、モルナル氏のチームの計算に用いられました。発表された論文に記された時間では、食は起こることはありえません。ソシア氏の計算だとKIC 983227は、その時間には地平線の下に沈んでいることになります。望遠鏡では見れないということになるのです。

ただこの誤りによって、将来KIC 9832227が爆発しないということにはなりません。だた、時期が2022年ではないということです。新星が近い内に観察できないのは残念なお知らせではあるのですが、今回の研究は科学が健全な自己修正能力を持つことの一例を示してくれました。次に正しい新星予言が現れることを期待しましょう。

 

連星の赤色巨星、自身のペアである中性子星の「命」を吹き返す

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

SHARE

TAG

spaceの関連記事

RELATED ARTICLE