穀物の栽培は古代人が「ビールを飲みたくて」始まったことがわかる

history_archeology 2018/09/13
Photo credit: Skye Chilton on Visualhunt.com / CC BY-NC
Point
・穀物の栽培やビールの醸造、パン焼きのどれが先に始まったのかははっきりしていない
・1万3千年前のナトゥーフ文化の遺物にビール醸造の跡が見つかる
・穀物栽培は1万2千年前に始まったとされるので、ビールの醸造のほうが先に行われていたことになる

すべてはビールのために…?

スタンフォード大学の考古学者チームが、イスラエルの洞窟で、最古の穀物栽培に千年近くも先立つと考えられるビール醸造の証拠を発見しました。この発見は、昔からの「ビールが先かパンが先か」論争を巻き起こすでしょう。研究は“Journal of Archaeological Science: Reports”で発表されました。

Fermented beverage and food storage in 13,000 y-old stone mortars at Raqefet Cave, Israel: Investigating Natufian ritual feasting
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352409X18303468?via%3Dihub

リウ氏と研究チームは、ラケフェット洞窟と呼ばれるイスラエルのハイファにあるナトゥーフの墓地で、13000年前の古い石のモルタルの残骸を発見。解析した結果、それは大規模なビール醸造工程の証拠となるものでした。

これは「人の手によってつくられたアルコール」では世界で最も古い記録です。狩猟民族ナトゥーフによって醸造されたビールは、死者に敬意を払う儀式的宴会用だったと考えています。これが示唆するのは、「アルコールの製造は農耕によってもたらされた余剰の結果起こった」というわけではないということです。むしろ、少なくともある地域では、農耕に先立って儀式目的や精神的な欲求のため生み出されていたのです。

ナトゥーフでの穀物栽培が始まったのは1万2千年前だと考えられています。したがって、1万3千年前の石のモルタルにビール醸造の痕跡が見つかったということは、醸造のほうが先に行われていたということになります。

太古のビールはひと味違う。その醸造レシピとは

太古のビールは、現在私たちが飲んでいるものとは異なります。昔のビールはもっと多くの原料が混ざりあった飲料で、ポリッジあるいは薄い粥のようなものでした。

写真左が洞窟で見つかった太古のスターチ。写真右が醸造実験で得られたスターチ。類似性が確認できる。Credit: Li Liu

研究者たちは、ナトゥーフの人たちが、3段階の醸造プロセスでビールを作っていたと考えています。そのプロセスでは、最初に小麦や大麦のスターチをモルトに変えます。つまり、穀物を水中で発芽させて水を抜き、乾燥させてから貯蔵します。次に、モルトは潰されて火にかけられます。そして最後に、空中を漂う野生の酵母によって発酵させられるのです。

研究者たちはこの方法でビールを再現する実験を行い、その過程で出来たものを考古学的な発見と比較。その結果、ナトゥーフで行われたものと明らかな類似性が示されました。

古代のビールは儀式目的とのことですが、もしかしたら太古の人々も、ビールを思いっきり飲みたかったがために農耕技術を発展させていったのかもしれません。なんといっても、仕事の後のビールは格別ですからね。

 

ビールがさらに美味しく安くなる。そう、ゲノム編集ならね

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

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