トルコで「ダーウィン」が教科書から消える

religion 2018/10/07
Credit: Getty Images

「科学」を教えるというのは、実はとても難しいことです。これまでも様々な国で、その教育方針が議論されてきましたが、ここでは「トルコ」で起きている問題について紹介します。

昨年、トルコ政府は、学校でダーウィンの「進化論」について教えることを禁止する決定を下しました。これにより、トルコの中等教育における生物の教科書から、ダーウィンと自然選択説が姿を消すこととなります。

2016年のクーデター未遂事件の直後に制定されたこの法律。事件以来、政府はその強権的な体制をさらに強めています。つまりこれは、イスラム大国であるトルコが、その宗教的立場を明確にするためにイスラムの教え(創造論)に反する「進化論」を排除する動きであると考えられるのです。

「進化論」と「創造論」が矛盾するものであるかについては、はっきりとした答えは出ていませんが、今回トルコ政府が「進化論」をその教育課程から外したのは事実。そこには「科学」と「宗教」の切っても切れない関係がうかがえます。

今回の動きについてジャーナリストのレイチェル・ジョリー氏は、“New Scientist” において率直な意見を語っています。

このような動向は、現トルコ政権が「事実に基づいた教育」や、1920~1930年代にトルコ初代大統領ケマル・アタチュルクが導入した「世俗主義的な社会」から遠ざかる動きの一環です。

トルコは、イスラム国家でありながらその憲法において世俗主義(政教分離)」の原則が貫かれている複雑な背景を持った国家です。トルコ国内の公的な領域で女性のスカーフが禁止されたり、国内で簡単にアルコールが入手できるのはこのためです。

しかしながら近年は、世俗主義を支持する人々が敬虔なムスリムに対して「時代遅れ」だとして侮辱的な態度をとるようなこともあり、国民の中から世俗主義を疑問視する声が上がり始めているのです。

「イスラム教への信仰」と「世俗主義」の間で揺れるトルコがとった今回の「ダーウィン削除」の選択。「親日国」としても知られるトルコですが、現在、国としての方向性が問われるまさに「岐路」に立っていると言えるでしょう。

 

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via: bigthink / translated & text by なかしー

 

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