「余剰次元の存在」が重力波の観測から否定される

space 2018/09/19
Photo credit: NASA Goddard Photo and Video on Visual hunt / CC BY
Point
・重力が余剰次元に漏れ出し、遠方では重力が予測よりも弱くなるとする説がある
・中性子星の衝突で、重力波と電磁波の両方が同時期に観測され、結果を比較することが出来た
・比較の結果、重力は予想通りに届いており、余剰次元への漏れ出しはないことがわかる

昨年、中性子星の衝突による重力波が世界で初めて観測されました。この観測により関連研究が続々と後に続いていますが、今回はSF好きには少し残念なニュースです。

シカゴ大学の研究者たちが、重力波のデータを元に余剰次元の証拠を探しましたが、現時点では見つからないと結論を出しました。つまり、宇宙の余剰次元が、少なくともある理論においては否定されてしまったようです。研究は“Journal of Cosmology and Astroparticle Physics”で発表されました。

Limits on the number of spacetime dimensions from GW170817
http://iopscience.iop.org/article/10.1088/1475-7516/2018/07/048/meta

最初に重力波が見つかったのは2015年。ブラックホールの衝突によるもので、発見した3人の物理学者たちはノーベル賞を受賞しています。そして昨年、今度は中性子星の衝突による重力波が観測されました。ブラックホールの場合とは異なり、中性子星の場合は衝突の結果を通常の望遠鏡でも確認できます。それによって、2つの観測から読み取ったものを比較することができるのです。

太陽系で起こる主な現象は、アインシュタインの一般相対性理論によって説明が可能です。しかし、さらに宇宙を深く探索すると、その理解には大きな穴があることがわかってきました。それは、主にダークマターとダークエネルギーの存在が理由です。銀河の動きや宇宙の加速的な膨張を説明するために不可欠ですが謎も多く、科学者たちの悩みの種でもあります。

また、多くの一般相対性理論を元にした理論には余剰次元が加えられています。ある理論では、重力は距離が遠くなると余剰次元へと漏れ出してしまうとされています。その結果、重力が弱まるため、今の宇宙と相対性理論の間にある矛盾が説明できるのです。

Credit: Courtesy of NASA’s Goddard Space Flight Center CI Lab

そして昨年検出された、中性子星の衝突からの重力波と電磁波によって、この理論を検証する機会が与えられました。LIGOによって2017年8月17日に重力波が検出され、それに続いて、ガンマ線、X線、電波、可視光、赤外線といった様々な電磁波が観測されています。もし、重力が余剰次元に漏れ出しているとすれば、重力波は電磁波から予測されるものよりも弱くなっているはずです。しかし調査の結果、弱くなってはいませんでした。

 

つまり現状、少なくとも数億光年の範囲では、宇宙はおなじみの4つの次元「空間と時間」しか持たないようです。しかし、これは始まりに過ぎません。まだ検証方法がわからなかった多くの理論が存在し、検証されるのを待っているのです。

 

暗黒物質の正体は原始のブラックホールだった?シミュレーション実験が行われる

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

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