地球に最も近い系外惑星「プロキシマb」が「生命の住める環境」である可能性が浮上

space 2018/09/20

Point
・太陽系に最も近いプロキシマ・ケンタウリの惑星プロキシマbは、ハビタブルゾーンに存在する地球型の惑星
・主星が赤色矮星でハビタブルゾーンが恒星に近いので、生命存在には過酷なのではと考えられていた
・シミュレーションにより、プロキシマbに生命が存在できるシナリオもあることがわかる

何かとお騒がせなプロキシマbさん、今度こそ生命が…?

2016年、太陽系に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリに、地球型の惑星があることがわかりました。さらにその地球型惑星プロキシマbは、ハビタブルゾーンの領域内にあることが判明。たちまち「生命がいるのではないか」という期待が持ち上がりました。

それ以来、プロキシマbについて多くの研究が行われましたが、期待できるような成果は上がりませんでした。そもそもプロキシマbの太陽はフレア活動が盛んであるため、表面に大気や液体の水を保持できないのです。

しかし、今回NASAが率いた研究チームが様々な気候シナリオを調査した結果、プロキシマbが生命を支えるに十分な水、さらに液体の水を持つ可能性が示されました。これは期待できるかもしれません。研究は“Astrobiology”で掲載されています。

Habitable Climate Scenarios for Proxima Centauri b with a Dynamic Ocean
https://www.liebertpub.com/doi/10.1089/ast.2017.1760

プロキシマbの抱える難題

Photo credit: sjrankin on Visual hunt / CC BY-NC / 

プロキシマbは、恒星の中でも特に小さい恒星のグループである「M型」の赤色矮星を回る惑星で、生物生存には多くの難題を抱えています。

その1つ目が、恒星に近すぎるために、早い段階で急激な温室効果が起こりやすいということです。また、強烈な放射線や太陽風も、大気や水を失う原因となります。しかし、プロキシマbの進化の歴史はあまりわかっておらず、生存が可能となるシナリオもあります。

2つ目に、赤色矮星であるプロキシマ・ケンタウリは太陽に比べて小さく温度も低いので、惑星が十分な星明りを得るためには、距離が近くなければなりません。問題はMタイプの星が、一生を通じて非常に活発な傾向があることです。

3つ目は、形成初期のMタイプ恒星は非常に明るく熱いということで、もしプロキシマbが生存可能な条件で始まったとしても、生命が定着する前に、熱せられて水を失うことになるかもしれません。

プロキシマ・ケンタウリでは、フレア活動がとくに大きな懸念材料で、赤色矮星の標準からいっても不安定です。実際に近年、2回の特に強力なフレアが観測されています。2度めのフレアは特に強力で、裸眼でも確認できました。これは、プロキシマ・ケンタウリを回る惑星は、次第に大気を剥ぎ取られてしまうことを意味します。

生命が生存できるシナリオは?

しかし、研究の中で示される通り、プロキシマbで生命が存続できる可能性のあるシナリオも多くあります。

そもそも「生命への驚異」自体にも、広い範囲の不確定要素があります。プロキシマbが恒星から離れた軌道で形成され、徐々に内側へ移動した可能性もあり、初期の厳しい条件の影響を受けなかった可能性もあるのです。

第2に、地球が持つ水の10倍もの水で形成されている可能性もあります。プロキシマ・ケンタウリの過酷な放射線で90%の水が失われても、海を形成するに十分な水を持つことになります。また、厚い水素の大気を持っている可能性もありその場合も大気が取り払われた後に、「生存可能な核」となる大気が残ります。

Credit: CfA / 赤色矮星の周りを回る「水が存在する」系外惑星のイメージ。

シミュレーション結果は「生存可能性あり」

今回の研究では、生物が生存するために必要な大気と水が存在すると仮定し、恒星との距離や軌道の条件によって、大気や海が生物の生存に適したものとなりうるのか、シミュレーションが行われました。シミュレーションに使われたのは、地球の過去未来、あるいは、かつて居住可能だったと考えられる太古の金星です。

プロキシマbの大気として、地球に似たものや火星に似たものを含む様々な種類が試されました。また、大気の厚さや、海が惑星全域を覆っているかなども考慮されています。あと、重要な点として、惑星の潮汐固定が3:2で起こるものを想定しました。かつての研究では海は静的なものとしてシミュレートされていましたが、今回は動的で、暖かい場所と冷たい場所を海流が流れ熱が交換されるものとされました。

その結果、いずれのシミュレーションでも、少なくとも惑星表面に水が存在する惑星になることが判明したのです。そのうえ、潮汐固定された惑星においては、太陽に面した側と影になった側で熱交換が行われ、全惑星が生存可能な環境になる可能性があることも発見しました。よって、もし大気と水があれば、プロキシマbには生存可能な環境が生まれる機会があります。さらに、潮汐固定されている場合でも海流による熱交換で、暗い面にも生存可能領域は広がるのです。

 

ハピタブルゾーンが恒星に近い部分にあり、惑星に潮汐固定が起こりやすい環境になる赤色矮星系であっても、生物の存在できる環境が生まれやすいことが分かりました。銀河の70%の星は赤色矮星ですので、地球外生命は思ったよりもたくさん近所の星にいるかも知れません。その第一の候補が、最も近いプロキシマ・ケンタウリにあるのです。

 

太陽系に最も近い恒星「アルファ・ケンタウリ」に探査機を送る計画、その実現可能性と問題点とは

 

via: Phys Org/ translated & text by SENPAI

 

SHARE

TAG

spaceの関連記事

RELATED ARTICLE