褐色矮星と恒星の境界線が変わるかもしれない新たな発見

space 2018/09/22

Point
・褐色矮星は核融合が始まって恒星になれるほどの質量を持たない星で、木星の70倍の質量が上限とされていた
・2つの褐色矮星の質量を、引力によるブレを観測することで調べた結果、どちらも木星の70倍を超えていた
・現在の恒星の進化に関するモデルを改定する必要があるかも

恒星と惑星の境界線は、思ったよりも幅が細いかもしれません。

褐色矮星は惑星よりも重たい天体ですが、恒星になれるほどには重くありません。しかし、カーネギー研究所の研究で、2つの褐色矮星が、「木星の70倍」という上限を超えていたことが判明。これにより、星の進化に関する理解がくつがえるかもしれません。研究結果は、“The Astrophysical Journal”で発表されました。

Dynamical Masses of ε Indi B and C: Two Massive Brown Dwarfs at the Edge of the Stellar–substellar Boundary
https://dx.doi.org/10.3847/1538-4357/aadadc

その褐色矮星は、イプシロン・インディBとCと呼ばれています。今回判明したその重さは、推定で木星の70倍以上。しかしこれらの星は恒星へと進化する転換点に非常に近いものの、その鈍い輝きから、まだ恒星にはなってないことは確実です。

褐色矮星は一般に恒星へのなり損ないと言われています。水素に高い圧力をかけて核融合を引き起こすにあたり、必要な重力を生み出せるだけの質量を持たないためです。現在、褐色矮星の重さの上限は木星の70倍程度と考えられています。この境界を超えると恒星とみなされますが、今回の発見により、星で核融合が始まる重さについて再考する必要に迫られました。

この星の発見は、2003年にさかのぼります。インディアン座星域の12光年先にイプシロン・インディ星系があり、太陽の4分の3の大きさの主系列星の主星と対となる2つの褐色矮星からなります。さらに最近になって、木星サイズの天体も軌道上に見つかっていて、この種類の系外惑星としては最も地球に近いものです。

以前、これらの上位3つの大きな星については、放射される光の強さでその質量が計算されています。この最初の観測は赤外線イメージと低解像度の分光計でなされており、褐色矮星の質量はそれぞれ、木星のおよそ47倍と28倍であり、上下に25%の誤差があるものとされました。

そして今回、カーネギー研究所の天文学者は少し違うアプローチをとりました。引力による星のブレを観察することによって質量を求めたのです。宇宙を背景にして現れる小さな動きをマップすることで、褐色矮星のもっと正確な質量を求めることができました。その結果から判断すると、以前の見積もりはどうやら少し違っていたようです。イプシロン・インディBはおよそ木星の75倍で、誤差は木星0.82個分。インディCは70.1倍に近く、誤差は0.68です。

これらの質量は、今まで考えられていた褐色矮星の上限、木星の70倍を超えています。とはいえ、この数字は魔法の境界というわけでもありません。昨年木星の90倍の星が、冷たい赤色矮星から、熱い褐色矮星へと再分類されています。問題は、この天体が本物の境界を示しているのか、それともある種の例外なのかということです。自然はきっちりと分類されているわけではありません。したがって、どのような星の進化に関する有用なモデルもはっきりしたイメージを組み立てるのに十分な観察を必要とします。今回の発見により、現存するモデルには改定が必要となるでしょう。

 

太陽系初期に「惑星が再編成」していた証拠が発見される

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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