土星の衛星タイタンで「有機物」による嵐を発見

space 2018/10/06
Photo credit: Kevin M. Gill on Visual hunt / CC BY
Point
・カッシーニが集めたタイタンのデータの中に、赤道付近で起きた持続時間の短い強い赤外線放射が見つかる
・様々な仮説を検証した結果、この光が「凍った有機物による砂嵐」であることがわかる

昨年、惜しまれながら引退した土星の探査機カッシーニ。その残されたデータの中に、面白い現象が見つかりました。

カッシーニのデータを分析したところ、2009年と2010年の分点の間に、衛星タイタンの赤道付近で、突然短く強い光を観測。その光は赤外線のため眼には見えませんが、研究者たちがあらゆる可能性を検討した結果、この光が「凍った有機物が巻き上げられたことによる砂嵐」によるものでああることがわかりました。研究は、“Nature Geoscience”で発表されています。

Observational evidence for active dust storms on Titan at equinox
https://www.nature.com/articles/s41561-018-0233-2

その原因については当初、火山の噴火やメタンの雲、そして嵐で地表面があらわになったことによる反射率の変化といったものなどが挙げられていました。しかし詳しい分析の結果、これらの可能性は否定されています。火山の噴火でおこった熱は、そんなに早く冷まされるものではありません。また、大気の変化については、分光分析によって調べられていて、原因となった大気の高度が低いことが示されました。

そしてこのデータは、同時に有機物の存在も示唆しています。しかし、液状になったメタンと有機物の区別をつけることは不可能です。

そこで、メタンが水滴だった場合の雲の形状をモデル化したところ、赤道上での雲は高いところにつくられ、水滴の大きさが非常に小さくなることがわかりました。小さな水滴はすぐに蒸発し、またさらに大きな水滴に成長するので、大量に存在することはありません。高度が一致しないことと水滴のサイズから、メタンの雲である可能性は除外されました。

残った可能性は、凍った有機物の砂が巻き上げられたことによる砂嵐で、最終的にはこれが正しいという結論に達しています。しかし、そうなると別の疑問が生じます。一体どうやって有機物の砂は巻き上げられたのでしょうか。カッシーニが発射したプローブであるホイヘンスが地表に着陸した時に、塵が巻き上げられているので塵があることは確かです。しかし、赤道付近では強い風は起きません。モデル計算によると、塵を巻き上げるのに必要な風は9km/hから40km/hですが、観測結果から平均1km/h程度の風しか吹いていないことがわかっています。

研究者によると、この現象を説明するのは「観測された希少度」だとのこと。ほとんど起こることのない稀な強風が塵を巻き上げ、その巻き上がった塵によって、弱い風でもさらなる塵を巻き上げることができたのだとしています。そのようにして、寿命の短い有機物の砂嵐が発生し、一瞬の間タイタンの空で輝いたのです。

 

惑星や衛星の大気は複雑で、まだまだ解明されていない謎が多くあります。カッシーニが集めたデータには、まだ解析されていないものがあり、今後さらなる砂嵐が見つかる可能性があります。太陽系内の未知の世界の謎が少しづつ解き明かされていく様子は、非常にワクワクしますね。

 

土星の衛星エンケラドスで初めて「複雑な有機分子」が見つかる! 生命発見への鍵

 

via: Ars Technica/ translated & text by SENPAI

 

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