マイクロクエーサーが最大級の強力な光線を放っていることを発見

space 2018/10/15
Credit: NASA/CXC/M. Weiss
Point
・マイクロクエーサーであるS433は、宇宙ジェットを放出する天体として知られている
・この天体から放出されるガンマ線を調べたところ、25テラ電子ボルトという稀に見る強力なエネルギーを持っていた
・この光を発している光源はさらに高いエネルギーを持っていると考えられる

宇宙ジェットは、銀河の中心にある超大質量ブラックホールから放射されるプラズマガスなどが放射されたものです。天の川銀河内部、15,000光年の距離にあるクエーサーS433は、ジェットを放出する天体として知られています。

この天体から、かつて観測されたことの無いほどのエネルギーを持ったガンマ線の放射が確認されました。研究結果は“Nature”で発表されています。

Very-high-energy particle acceleration powered by the jets of the microquasar SS 433
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0565-5

クエーサーは光が強すぎて構造を見ることが出来ない天体を指しますが、現在では宇宙ジェットを放出するエネルギーの高い活動銀河核であるとされています。ブラックホールが周囲の物質を引き寄せて降着円盤を作り、強力な磁場で加速されたプラズマがジェットで放出されます。そのスピードは光速と比較できるほどです。S433はそういったクエーサーよりも規模が小さい恒星サイズのマイクロクエーサーです。その中央にはブラックホールか中性子星があるとされていて、物質を供給する対になっている星は超巨星であると考えられています。SS433は、他の銀河に比べると圧倒的に近くにあり観測しやすい天体でもあります。

SS433は以前の研究でも強烈なX線放射が知られていました。新たな研究で使われたのは、高度水チェレンコフガンマ線天文台(HAWC)で、2015年から稼働しています。数年に及ぶ観測の結果、プラズマビームから放出された強力なエネルギーを持った光子が見つかりました。物理学者が求めたその光子のエネルギーは少なくとも25テラ電子ボルト(TeV)でした。これは、私たちの目に見える光の25兆倍という凄まじいもので、これまでにマイクロクエーサーで観測されたものと比較しても10倍の強さです。

とはいえ、このエネルギーが自然界で最大というわけではありません。かつて観測されたものの中には更に5桁上の超強力なエネルギーを持ったものもあります。ポーランド科学協会の原子物理学研究所の物理学者フランシスコ・サレサ・グレウス氏は、「25TeVのガンマ線光子はもっと高エネルギーの粒子から放射されます。それは陽子である可能性があり、そうだとするとそのエネルギーは250TeVという巨大なものになります」と話しています。

しかし、HAWCの結果と他の観測を比較したところ、陽子が光源となっている可能性は除外されています。おそらくは、多くのガンマ線がプラズマ中のもっと軽い電子と宇宙マイクロ波背景放射の衝突で出てきたもののようです。

 

S433は、太陽系に近いマイクロクエーサーという他には無い星系であり、毎年のように新しい発見が出てきています。その知見は、銀河からなるクエーサーを理解するためにも役に立つでしょう。

 

最も遠い巨大ブラックホールを観測、宇宙の始まりに迫る

 

via: Science Alert/ translated & text by SENPAI

 

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